ロシアのプーチン大統領は、民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が搭乗したジェット機が墜落し乗員全員が死亡したとされる事件を巡り、亡くなった人々の遺族に心からの哀悼の意を表したいと述べた。24日、モスクワで撮影(2023年 ロイター/Sputnik/Mikhail Klimentyev/Kremlin via REUTERS)

プーチン氏沈黙破る、プリゴジン氏遺族らに哀悼の意表明

[モスクワ 24日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は24日、民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が搭乗した自家用ジェット機が墜落し乗員全員が死亡したとされる事件後初めて沈黙を破り、プリゴジン氏の遺族らに「心から哀悼の意を表したい」と述べた。

ロシア非常事態省によると、モスクワからサンクトペテルブルクに向かっていたジェット機は23日、モスクワ北西のトベリ州で墜落。ロシア航空当局は、プリゴジン氏と同氏の右腕であるドミトリー・ウトキン氏を含む乗客7人と乗組員3人が事故機に搭乗していたと確認した。生存者はいないもよう。

当局は原因究明に向け刑事捜査を開始したが、墜落した原因はまだ不明。墜落現場から回収された10体の遺体の身元も公式には確認されていない。

プーチン大統領は「航空事故は常に悲劇だ」とし、犠牲者の家族に哀悼の意を表明。「予備段階のデータが示しているように、ワグネル関係者が巻き込まれたとすれば、彼らはウクライナのネオナチ政権との戦いに大きく貢献したと強調しておきたい」と述べた。

また、墜落事故の公式調査の結果を待つ必要があるとし、調査には時間がかかると述べた。

プリゴジン氏については、才能ある実業家であり、自分の利益を守る術を心得ていたほか、依頼があれば共通の目的のために一役を担う人物だったと賞賛。同時に欠点もあり「困難な運命を背負った男で人生で重大な過ちを犯した」とも述べた。

事故の原因を巡り憶測が飛び交う中、米政府当局者2人はロイターに対し、まだ情報の精査が行われているものの、米国はロシア国内から発射された地対空ミサイルが同機を撃墜した公算が大きいとみていると、明らかにした。

一方、米国防総省は24日、地対空ミサイルによる同機撃墜を示唆する情報は今のところないと発表した。

ロシアのメディア、バザによると、捜査当局は機内に1─2つの爆弾が仕掛けられていた可能性があるという説に注目しているという。

墜落を目撃したある住民はロイターに対し「爆発音か、ドンという音が聞こえ、見上げると白い煙が見えた」と語り、その後ジェット機が「片方の翼を失い、片翼で滑るように落ちていった」と説明した。

ロイターの記者は24日未明、墜落現場から黒い遺体袋が運び出される様子を目撃した。

プリゴジン氏は6月23─24日にロシア軍上層部に対する反乱を主導。プーチン大統領は当時、プリゴジン氏とその部隊の行動を「反逆」に当たると非難し、「裏切りの道に足を踏み入れた者、武装蜂起を企てた者、脅しやテロに訴える者は処罰する」と表明していた。

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