6月は衣替えの月です。身軽になると日差しが一年で一番長くなる夏至を迎えます。真夏に向かうまばゆい光に照らされ、地面に映し出される私たちの影の姿も次第にくっきり生き生きとしてきます。
日の長さに合わせて影の命も朝陽が昇り、夕陽が沈むまで活動します。お寺の境内の空き地や、隠れ場所がふんだんにあるいつものところでジャンケンが始まって、鬼さんが決まります。
隠れん坊や影ふみや缶けり遊びがどうしてあんなに楽しかったのか? 息を凝らし正体の影を鬼から隠して身を潜めるおののきに、言い知れない愉しさがあったから・・・。繰り返し日暮れて影がなくなるまで、子供たちは息せき切って遊びました。
エーテルに満たされた青空の領域で、子供たちの遊ぶ姿が映え集っているのを見ると、それだけでもう眼福の世界が思う存分に繰り広げられている喜びがやってきます。
鬼に影を踏まれると動いてはいけません。じっと思い出のように時を経て、そこに今でも踏まれた影は佇んでいます。久し振りにお寺の境内を訪れると、昔懐かしい歓声がしんとした木陰の森から聞こえてくるのです。
鬼があんなにも踏み集めた子供たちの影の森は、きっと誰かに「みーつっけた!」といわれるのをどこかで待っています。そんな声が梅雨のお空の影法師から聞こえてきそうな初夏の空模様です。
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