幹細胞は「不老不死を実現させる」? 幹細胞を増やす食品とは(1)

元ハーバード大学医学部教授のウィリアム・リー氏は、『健康食大全──がん、認知症、生活習慣病は食事で防げる(Eat to Beat Disease)』の中で、「幹細胞は健康に不可欠で、突然なくなると人は1週間以内に死んでしまう」と書いています。

適切な食品を食べることで、体内の幹細胞の数を増やすことができます。

幹細胞は、体の臓器を生まれ変わらせて、人体器官を更新します

私たちは幹細胞から生まれています。父親の精子と母親の卵子が出会うと、受精卵が形成されます。受精卵は分裂し、3~5日目には母親の子宮の中で約150個の幹細胞からなる胚に成長し、胚の中の幹細胞は、その後分化を続け人体の様々な組織や臓器に成長するのです。人間の体には200種類以上の細胞が存在し、そのすべてが幹細胞から発生しています。

人間の細胞はすべて幹細胞からできています(健康1+1/大紀元)

胎生期だけでなく、赤ちゃんも体内に多くの幹細胞を持って生まれてきます。平均的な人間の体には全部で約37.2兆個の細胞があり、そのうち0.002%にあたる約7.5億個が幹細胞です。体のあちこちに蓄えられ、体の組織や臓器を再生したり修復したりする仕事を引き受けているのです。

『健康食大全──がん、認知症、生活習慣病は食事で防げる(Eat to Beat Disease)』の著者で血管新生財団理事長である、ウィリアム・リー氏は、《大紀元》のインタビューで、この幹細胞は主に骨髄に貯蔵されているが、体の脂肪、皮膚、毛包、そして心臓にも含まれていると説明しています。例えば、ガレージにリフォームで使った塗料を保管しておき、ある日突然、壁を補修する必要に迫られた時、すぐ手に取って使えるように、人間の体には幹細胞が保管、配備されているのです。

体内のすべての組織や臓器は常に新しく生まれ変わっており、幹細胞はその過程で重要な役割を担っています。具体的には、新しい皮膚を作り、傷ついた皮膚細胞を置き換えるためには幹細胞が必要なのです。また腸の表面の傷ついた細胞を置き換えるためには腸の幹細胞が必要です。

小腸は2~4日、肺と胃は8日、皮膚は2週間、赤血球は4カ月、脂肪細胞は8年、骨格は10年ごとに新しく生まれ変わります。また、体の免疫細胞は7日ごとに再生されるので、該当する幹細胞がなくなると、感染症であっという間に亡くなってしまうという例も挙がっています。

さらに、彼の著書では、特に核放射線の場合、幹細胞が生命維持に重要な役割を果たすことも書かれています。広島と長崎への原爆投下により、当時約20万人が死亡し、生き残った人々の中には、放射線が骨髄の幹細胞産生能力を破壊したため、後に第二の死を迎える人もいたのです。

幹細胞は、いざというときに体を修復します

生命を維持するために、身体の仕組みは切れ目なく自動的に働いています。

幹細胞は、さまざまな病気やケガで失われた細胞を修復したり、機能不全に陥った細胞を置き換えたりするときに活躍します。幹細胞は、体が必要とするものを常に見張っていて、適切なタイミングで助けに来てくれる体の見張り役でもあるのです。

さらにウィリアム・リー氏は、損傷した臓器や修復が必要な部位では、ある種のタンパク質が放出されると説明しました。このタンパク質が伝達役となって、骨髄に蓄えられている幹細胞を呼び寄せ、まるで、蜂の巣から蜂が飛び出すようなイメージで、幹細胞はその呼びかけに応えて骨髄から血液中に放出されます。この幹細胞は、血流に乗って傷ついた組織に運ばれ、目的の場所に正確に着地します。そして、その臓器や関連組織の細胞を再生するために、分化や変容を始めるのです。

例えば、多くの人が知っているように、肝臓は、手術で最大75%を切除しても、幹細胞の修復・再生により、再び成長します。

(つづく)

李路明