脂肪肝を放置すると、脳を早く老化させます。食生活をはじめとする生活習慣の改善が必要です。漢方医学ではサンザシが多く処方されます。(Shutterstock)

「脂肪肝は脳を早く老化させる」漢方医が教える予防と改善方法(1)

脂肪肝とは、一般に中性脂肪と呼ばれるグリセリン脂肪酸(グリセリンエステル)が、肝臓に蓄積され過ぎた状態を指します。

 

食事がまねく肝臓への脂肪蓄積

脂肪肝は2つのタイプに分けられます。1つは過度の飲酒によるアルコール性脂肪肝。もう1つは非アルコール性脂肪肝で、後者が一般的な脂肪肝です。

漢補世家漢方クリニックの副院長である許中厳氏は、「非アルコール性脂肪肝の成因は2つあり、1つはカロリーの摂取オーバー。もう1つは、運動によるカロリー消費が少なすぎることで、これは日常生活のパターンに関係しています」と指摘します。

肝臓に脂肪がたまる主な原因は、高脂肪かつ高糖分の食事です。

お酒をたくさん飲むことも脂肪肝になりやすいので、注意してください。「鶏の唐揚げとビール」が好きな人は、脂肪肝リスクの高い組み合わせをわざわざお店で注文していることになります。

 

病気の要因となる生活習慣

現代人は、どうしても長時間座ったままのデスクワークが多く、総じて運動量が不足しています。そのため、摂取したカロリーを消費する機会が少なすぎることも脂肪肝の原因になっています。

さらに、ストレスや夜更かしといった要因が重なると、体の正常な代謝が鈍化して、脂肪がたまってしまいます。

肝臓の機能は、体内を解毒し、体に必要なエネルギーを貯蔵することですが、その結果として、余分な脂肪はこの臓器にどんどん蓄積されることになります。

ストレスや夜更かしは体の正常な代謝を鈍化させ、脂肪肝を発生しやすくします。(Shutterstock)

一般的に、肥満の人や体重過多の人は、脂肪肝の可能性があります。

ただし、一部の人は、四肢などは太っていないため特に体重過多ではありませんが、お腹周りが大きい場合があります。このような人も、脂肪肝になる可能性が高いと言えます。

腹部肥満の人は、内臓脂肪が多いことを表しています。

腹部の脂肪とコレステロールおよび中性脂肪との関係は、直接的には等号(イコール)で結べませんが、許中厳氏によると、臨床上で観察した結果、脂肪肝の患者は「通常よりもお腹が大きい」ことは言えるそうです。

脂肪肝は、その初期や中期には兆候がほとんどないので、通常は、定期健康診断のときに発見されます。

 

「老化を加速する」は本当か?

脂肪肝は、肝硬変や肝臓がんのリスクを増すだけでなく、脳の老化あるいは脳の萎縮も早めてしまいます。

2018年1月に、米国の医療専門誌『JAMA Neurology(神経学)』に掲載された研究では、非アルコール性脂肪肝が脳容量の減少と有機的に関連していることが示されています。

766人を対象としたこの研究では、全体の脳容量の差からみて、脂肪肝のある人はない人に比べて「脳が4.2歳古い」つまり老化が進んでいることがわかりました。とくに60歳以下の被験者を見ると、脂肪肝の人は「脳が7.3歳老いている」と言います。

(次稿に続く)

 

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)

関連記事
孤独は、心血管疾患や認知症、脳卒中、うつ病、不安障害、さらには早期死亡のリスク増加と密接に関連しています。実際、孤独による死亡率への影響は、1日にタバコを15本吸うことに匹敵し、肥満や運動不足よりも深刻. 信頼できる良き友人を持つことは、大変な労力が必要ですが、子供を育てることと同等に価値あることだ。友を探すことだ。孤独を成熟への原動力。
妊娠中から生後2年までの砂糖制限が、成人後の慢性疾患リスクを大幅に減らす可能性が研究で判明。健康の鍵は幼少期の食事に!
冬にぴったりの「白菜と豚肉のもち麦スープ」で、体内の老廃物をデトックス!白菜の栄養ともち麦の食感を楽しみながら、胃腸を整えて健康をサポートしましょう。
スマホやPCで酷使された目に!中医学の知恵で目の疲れやドライアイをケアする方法を徹底解説します。
無理なダイエットが引き起こす「お腹のガス」。放置は危険で命に関わることも!漢方の知恵で予防・解消法を学びましょう。