3月18日、英ロンドンのロシア大使館の柵に掛かるウクライナのゼレンスキー大統領らの写真。「(脱出のための)乗り物はいらない」と大統領の発言が引用され、ロシアによる大統領脱出説を否定した(Photo by DANIEL LEAL/AFP via Getty Images)

「米ウイルス研究所起源」説、「大統領脱出」説…中露は互いの偽情報を利用する(2)

生物兵器研究所をめぐる偽情報にとどまらず、ロシアと中国は主に国内向けプロパガンダの内容を一致させている。「ウクライナの過激派が民間人を人間の盾として利用している」「ロシア軍は軍事目標しか狙わない」といったロシア側の根拠のない主張を中国は検証なく報道している。戦地取材を続けるAP通信によれば、ウクライナでは学校や病院、住宅地が砲撃を受け多数の民間人が犠牲になっている。

中国中央テレビ(CCTV)はロシア政府関係者の言葉を引用し「ゼレンスキー大統領が首都キエフを脱出した」と虚偽の報道をした。中国共産党機関紙・環球時報は、ロシアの国営メディア・RTを唯一の情報源として「侵攻初日に多くのウクライナ兵が降伏した」と伝えた。

これらのことから、中国国内の視聴者やネットユーザーが目にしている戦争は、世界のほとんどの国が報道している内容とは異なっていることが窺える。

▶ 続きを読む
関連記事
英情報機関GCHQは、ロシアのウクライナ侵攻以降の戦死者数が50万人に迫ると分析。前線では後退の兆候も見られ、損耗が補充を上回る可能性を指摘
ウクライナ戦争で無人機が戦局を一変。低コストで高精度の攻撃・迎撃を可能にし、秘密工場での大量生産が加速。戦争は「情報技術戦」へと進化している
ロシアとウクライナは、5月9日から11日までの間にそれぞれ1千人の捕虜を解放し、停戦を遵守することに合意した
防衛研究所の報告書に基づき、ウクライナ侵攻の裏で進行する中露のドローン生産ネットワークの深層を解説。中国による部品供給や制裁回避の複雑な仕組み、そしてそれがもたらす深刻な安全保障上の脅威に迫る
ウクライナの無人機がロシアの石油港を襲撃し、輸出インフラに深刻な打撃を与えた。一方、ロシア軍の進軍は通信ツールの制限により鈍化