3月17日、ウクライナや西側の当局者は、ウクライナでのロシアの進軍が停滞しているとの見方を示した。写真はキエフで同日、砲撃を受けた集合住宅の前を通る人(2022年 ロイター/Marko Djurica)

米「中国がロシア支援検討」と警告、和平交渉はなお隔たり

キエフ/リビウ(ウクライナ)/ワシントン 17日 ロイター] – ウクライナや西側の当局者は17日、ウクライナでのロシアの進軍が停滞しているとの見方を示した。軍事侵攻が4週目に入る中、米国は中国がロシアに軍事支援を行う可能性があると警告した。

ウクライナの首都キエフに対する砲撃は続き、南東部マリウポリでは爆撃を受けた建物で生存者の救出作業が続けられた。

双方の当局者はこの日も和平交渉を行ったが、依然として立場に隔たりがあるとした。

こうした中、ブリンケン米国務長官は「ロシアがウクライナで使用する軍事装備品の直接支援を中国が検討している」と懸念を示した。

また、バイデン米大統領が18日に行う中国の習近平国家主席との電話会談で、中国が「ロシアの侵攻を支援すれば責任を負うことになり、米国は代償を科すことをためらわないと明確にする」と述べた。

<大きな隔たり>

ロシアとウクライナは4日連続で停戦交渉を行ったが、ロシア側は合意に至っていないと説明。ペスコフ大統領報道官は、ロシアは和平合意に向け「多大な」エネルギーを注いでいるものの、ウクライナ側からそのような「熱意」は感じられないと語った。

ウクライナは停戦に向けた交渉の用意があるとしつつも、降伏や最後通告を受け入れる考えはないと強調。ポドリャク大統領顧問は「交渉は複雑だ。当事者のポジションは異なる」と述べた。

欧米の当局者も、ロシアとウクライナは和平交渉に「真剣に取り組んでいる」が、双方の間には依然として「非常に大きな隔たりがある」との認識を示した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、フランスのマクロン大統領と電話協議し、「平和的な対話継続」を双方が強調したとツイッターに投稿。「反戦連合を強化しなければならない」とした。

<ロシア軍の動き停滞>

キエフの北東部、北西部の郊外は大きな被害を受けているものの、市内は攻撃に耐えている。

ウクライナ国防省報道官は、キエフ周辺のロシア軍はここ24─48時間で大きく前進しておらず、「無秩序」な砲撃に出ていると述べた。

英国防省の情報当局は、ロシア軍の動きがここ数日、陸・海・空の全てでほぼ止まっているとの見解を示した。ロシア軍は甚大な損失を被り、ほとんど前進していないという。

北部チェルニヒウでは、米国人がロシア軍の銃撃を受けて死亡したことが分かった。親族によると、パンを求めて列に並んでいたところ、ロシア軍の狙撃兵に射殺されたという。地元当局者は、過去24時間で53人の民間人が殺害されたとしている。

マリウポリでは、16日に爆撃を受けた劇場で生存者の救出作業が続けられた。この劇場には数百人の住民が避難していた。市当局は死傷者の数を特定できていない。ロシアは劇場への攻撃を否定している。

世界保健機関(WHO)は17日、ウクライナの医療施設に対する43回の攻撃を確認したとし、12人が死亡、数十人が負傷したと明らかにした。

テドロス事務局長は国連安全保障理事会で「いかなる紛争でも、医療施設への攻撃は国際人道法違反だ」と述べた。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、ウクライナでこれまでに民間人780人が死亡、1252人が負傷したと明らかにした。

近隣の国に避難した民間人は約320万人となった。

ウクライナ当局者によると、人道回廊を通じて17日に避難した人は3810人で、前日の6万人超を大幅に下回った。

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