ウコンには抗炎症、抗酸化の効能があります。(shutterstock)

ウコンは不思議な香辛料「あなたの肝臓を守ります」

ウコンターメリック)には抗炎症、抗酸化の効能があります。

ウコンパウダーを日常の飲食に効果的に活用すると、肝臓や心臓血管を保護することができます。

ウコンはインドが原産で、紀元前から栽培されていました。鮮やかなオレンジ色が特徴のウコンは、テーブルの料理を華やかに彩り、食欲をそそります。

ちなみに、ウコンのほかに、辛味のトウガラシやコショウなど数十種類の香辛料を混ぜて作られたのがカレー粉です。

英国統治時代であった18世紀のインドから英国に伝わったカレー粉は、やがて「英国式カレーライス」として明治期の日本に伝えられ、今日、日本人の大好きな国民食になったことはご存じの通りです。

そういえば、私たちがカレーライスを食べると体がぽかぽかと温まり、力が湧いてくる感覚をおぼえます。もしかするとその理由の一つが、以下にご紹介するウコンの効能であるかもしれません。

ウコンは、インドで数千年の歴史をもち、病気治療のほか、美容、調理、染色などにも使われてきました。インドの伝統医学であるアーユルヴェーダによると、ウコンには体内の浄化作用があると考えられており、他の薬草と併用して、リンパ腺、汗腺、皮膚などを浄化することができると言います。

漢方医学におけるウコン(姜黄)は、脾臓と肝経(肝臓の経絡)に入り、血液の流れをよくします。そのため、うっ血の改善や、血液の循環不良による心臓、腹部、胸、脇腹などの痛みの治療に使われています。

ウコンの健康効果は現代医学でも実証されており、とくにウコンに含まれるクルクミンに抗炎症および抗酸化作用があるとされています。

このように有用なウコンのメリットとして、以下の7つが挙げられます。

 

1、心臓血管の保護

ウコンのもつ抗炎症の効果は、血管内皮の炎症を抑えることで、血管硬化の予防や血液循環の改善に効果的で、心臓血管を保護し、心血管障害を予防します。

ウコンはまた、肝臓のコレステロールの過度な製造を抑制することができ、コレステロール値を下げ、同じく心血管障害の予防に役立ちます。

 

2、肝臓の保護

ウコンは肝臓を保護するとともに、胆汁の分泌を促進することで肝臓の解毒にも役立ちます。この作用によって、脂溶性の体内毒素の多くは胆汁を通じて肝臓から腸へ出され、やがて体外へ排泄されます。

ウコンは抗酸化、抗炎症作用をもち、心血管障害を予防し、肝臓を守ります。(shutterstock)

3、関節炎の緩和

多くの研究により、ウコンに含まれるクルクミンが関節炎の治療に役立つことが示されています。クルクミンのもつ効能が、関節部の痛みやこわばりを解消し、炎症を軽減するのです。

ウコンはリウマチ痛の緩和にも効果があります。とくに寒冷期に痛みが出やすい人に適しています。

4、認知症の予防

2018年に米国の医学誌に発表された研究によると、認知症のない成人が1回当たり90 mgのクルクミンを1日2回、18カ月間摂取したところ、記憶力と集中力の向上に役立つことが発見されました。

研究者は、クルクミンの抗酸化性が脳の炎症を抑え、記憶力や認知力の低下を防止した結果と考えています。

ウコンに含まれるクルクミンは、認知症のなかで最も一般的とされるアルツハイマー型認知症のリスクも軽減します。

脳へのアミロイドβの蓄積は、認知症の発症に関係する原因因子とされています。クルクミンは、このような脳に蓄積したアミロイドβを除去するのに役立つのです。

この点、インド人はウコンの入ったカレーを日常的に食べていますが、疫学研究によると、アルツハイマー型認知症の発症率は低いと言われています。

5、抗うつ効果

ウコンに含まれるクルクミンは、神経伝達物質であるセロトニンドーパミンのレベルを上げることができます。セロトニンとドーパミンは、辛い気分を改善して、人をポジティブな気持ちにさせる物質です。

クルクミンは認知症のリスクを低下させ、抑うつ症状も改善することができます。(Shutterstock)

6、月経不順の改善

ウコンは女性の月経不順を改善し、月経にともなう体調不良および冷え性体質の女性の生理痛を緩和します。

多くの女性は生理前になると、様々な体調不良や心理的症状がみられます。ウコンのもつ抗炎症と抗うつの特性は、このような女性の生理前症候群を緩和するのに役立ちます。

7、がん予防

現代社会に現れている、いわゆる「文明病」の90%は慢性的な炎症によるものです。

先に挙げたような心血管疾患、アルツハイマー型認知症、関節炎、そして肥満、皮膚病、アレルギー、糖尿病、さらには各種のがんまでもが慢性炎症を要因とするなど、その関与が指摘されています。

ウコンに含まれるクルクミンは、抗がん作用を補助し、直接的または間接的にがん細胞の拡散や進行を抑制します。

 

ウコンは慢性炎症を改善します。(Shutterstock)

クルクミンは脂溶性栄養素ですので、良質の油を加えて、いろいろな野菜や肉と一緒に調理すると体の吸収力を高めます。その点では、日本で最も好まれているカレーライスは、非常に合理的なウコン料理と言えるでしょう。

なお、ウコンは安全性の高い食品ですが、「妊娠中の人」「ちかく妊娠する予定のある人」および漢方で言う「陰火虚旺」つまり「体内の冷やす力(陰)が落ちて相対的に熱の状態が強くなった状態の人」は、ウコンを含む食品を大量にとることは控えてください。

通常の食事に含まれる量ならば、全く問題ありません。

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)

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