中国雲南省昆明市に住むある男性は、2歳の息子の延命を願って自宅に実験室を設置し、薬を作り始めました。中国ではこの珍しい病気を治療できる処方箋がなく、コロナの関係で海外にも行けません。
AFP通信によると、徐偉さん(シュー・ウェイ、30歳)は高校しか出ていませんが、メンケス症候群を患う2歳の息子、シュー・ハオ・ヤン君の治療のために、自宅に実験室を設置し、器具や材料を購入して自分で薬を作りました。
メンケス症候群は、銅を欠く遺伝性疾患で、3歳以下の患者ではほとんど助からないと言われています。 銅は、脳や神経系の発達に重要な物質です。
病気を治す方法はなく、症状を和らげる唯一の薬も中国では手に入らない状況で、徐偉さんは、その薬を自分で作るための勉強と研究を始めました。
家族も友人も不可能だと反対していましたが、息子に生きる希望を与えるためには、他に選択肢がありませんでした。
徐偉さんは、翻訳ソフトを使って主に英語のオンライン文献を調べた結果、ヒスチジン銅が息子の症状を緩和する可能性があることを発見し、塩化銅にヒスチジン、水酸化ナトリウム、水を混ぜてこの化合物を作ろうとしました。
研究を始めてから6週間後、徐偉さんは初めてヒスチジン銅を製造しました。まずウサギで実験し、問題がなければ息子に与え、徐々に投与量を増やしていったそうです。
治療を開始して2週間後には、息子の血液の測定値は正常に戻っていました。息子のハオ・ヤン君は話すことはできませんでしたが、笑顔を見せました。
他の小児患者たちの親が、自分の子供にも薬を作ってほしいと徐偉さんに連絡してきましたが、法律によりそれができません。
「私は自分の子供にだけ責任があります」と徐偉さんはAFPに語っています。彼が製造した薬が、販売目的ではなく自分自身で使用するものである場合に限り、規制当局は干渉しません。
徐偉さんの薬品製造はメディアでも注目され、薬品の規制や医療従事者の資格など、法的な議論にもつながっています。
南方都市報が以前報じましたが、どんな薬でも関係当局の審査を受けなければなりません。そこで、徐偉さんは、「自分は化合物を作っている」と主張していました。彼の考えでは、いわゆる「薬」は、実際には構造式に基づいて作られた「化合物」に過ぎません。
雲南省薬品監督管理局は本紙の取材に対し、当局は主に薬品の流通・販売を監督しており、彼が作ったものは薬品ではないので介入できないと答えました。
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(翻訳・井田千景)
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