2021年人権デー、「平等」に焦点
今年12月10日の「人権デー」では、国際社会が「平等」に焦点を当てて社会を考察する。この日はまた、世界各国の軍隊や治安機関が人権保護における自身の役割を見直す良い機会ともなる。
1948年に国際連合総会で世界人権宣言が採択されたことを記念し、毎年12月10日を人権デーとして世界各地で記念行事を行うことが決議された。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のウェブサイトによると、同宣言は国籍、居住地、性別、民族性、宗教、言語などの身分や地位に関わらず、すべての人間が権利を有する基本的な権利と自由を特定し、すべての個人に対して当該権利を保証するものである。 2021年の世界人権デー(国際人権デー)のテーマは、「すべての人間は生れながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等である」という世界人権宣言第1条に関連したものとなる。
国際連合人権高等弁務官事務所のミシェル・バチェレ(Michelle Bachelet)人権高等弁務官は、平等とは「人々が多様性を受け入れ、全く差別することなく他者に接することを強く要求することである」と述べている。
人権の中核に平等と非差別の原則が存在すると訴える国連のウェブサイトには、「平等には貧困の悪循環を断ち切る力がある。平等により世界の若年者に同等の機会を与えることができる。平等により人間が健全な環境に存在する権利を推進することができる。平等により紛争や危機の根本原因の解明に取り組むことができる」と記されている。
複数の報道や人権団体の調査によると、世界人権宣言を批准しているにも関わらず、キューバ、ミャンマー、北朝鮮、中国などの国々では政府や軍隊が継続的に自国民に対して露骨な人権侵害を犯している。こうした状況の中、軍隊は紛争や危機の根本原因を突き止めて問題に対処するという手段で人権の向上に貢献することができる。
国連のウェブサイトには、「すべての人間の人権を保護・推進する社会は回復力が強く、人権からパンデミックや気候変動による悪影響といった不測の危機に至るまで、課題を克服する高い能力を備えることができる」および「平等と非差別が予防の鍵となる。すべて人間の人権を保証することで、すべての人々が人権の予防効果のメリットを得ることができる。しかし、特定の個人や集団が排除される状況下または差別に直面する環境では、不平等により紛争と危機の悪循環が促進される」と記されている。
多くの軍隊は人道的な感覚を正規の交戦規定と日常的な安保文化に統合することに取り組んでいる。たとえば、専門家等は軍隊での人権に対する意識向上手段を評価・検討している。これには、平和維持活動に参加する際に国際人道法や国際人権法を尊重するという軍人の義務が含まれる。
専門家等の説明では、軍隊と治安機関は人権に好影響をもたらすことを目的として、さまざまな方法で隊員や職員を継続的に訓練する必要がある。軍隊、軍事同盟、非政府組織、学術機関、国際機関がこうした進展に貢献している。
1948年に採択された世界人権宣言には法的拘束力はないが、同宣言の内容を基礎として60件超の人権国際基準に関する条約や文書が成立している。
国連人権高等弁務官事務所のウェブサイトによると、1950年に正式に世界人権デーを定めた国連総会は、同宣言を「すべての人と国の共通の達成基準」と意義付け、すべての人と国は「普遍的かつ効果的な認識と遵守を確保するために、国内および国際的な進歩的措置に基づき努力する」必要があると説いている。