米カリフォルニア州にあるインテル本社前。(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

米インテル社、レノボ社CEOをアドバイザーとして招待 「情報セキュリティが懸念」=米メディア

米国を拠点とする世界最大の半導体メーカー、インテル社は半年前、中国のパソコン大手、レノボのCEO・楊元慶(よう・げんけい)氏を新しい諮問委員会に招いた。楊氏は中国共産党と関係が深く、米誌は情報セキュリティの問題が起こりかねないと指摘している。

インテル社は6月、コロナ禍を経た半導体サプライチェーンの回復力を高めるため、官民連携の諮問委員会を設立した。同委員会アドバイザーの一人に、中国のパソコン大手レノボのCEO・楊氏が選ばれた。

米誌「ナショナル・レビュー」は10月2日、楊氏をインテル社のアドバイザーとすることは「セキュリティ問題をもたらす可能性がある」と報じた。

同誌によると、レノボは中国のハイテク大手であり、楊氏は中国共産党と密接な関係にあるため、中国共産党の利益のための行動を義務付けられている可能性が高いという。中国政府はレノボの32.7%の株を持ち、楊氏は全国人民代表大会の代表や、中国人民政治協商会議全国委員会の委員も歴任している。

いっぽう、インテル社が発表した声明では、楊氏が「中国の両会」に参加しているという経歴に触れられていない。

中国当局は最近、IT大手を中心に民間企業への取り締まりを強化している。同紙は、昨今の政府の圧力により、影響を受けやすくなるのではないかと報じた。

インテル社の発表によると、新しい諮問委員会には楊氏のほか、ミシェル・フロノイ元国防次官、ジャネット・ナポリターノ元国土安全保障長官、ワシントンのシンクタンク大西洋評議会(Atlantic Council)のフレデリック・ケンペ会長など、計8人の要人からなっている。

同誌は、このリストには米国の著名な元政府要人やビジネスリーダーが含まれており、中国の軍事関連企業が入手したい機密情報が会議中に議論される可能性が否定できないと危惧を示した。

インテル社は、同誌の取材に対し、楊氏の起用は米国、欧州、中国市場の専門家からアドバイスを得るための努力の一環であり、「当社の経営陣および取締役会がインテル社のグローバルビジネスに関する意思決定を行う際に役立つ」と説明している。また多国籍企業は、世界各地にアドバイザーを配置するのが一般的だと答えた。

(翻訳編集・蘇文悦)

関連記事
米国憲法は上院による官僚認定を規定するが、プロセスの遅延が課題となっている。一部の改革案が提起されているがその実現性はどうなのだろうか
バイデン米大統領は12月1日、息子ハンター・バイデン氏に対する「完全かつ無条件の恩赦」に署名したと発表した。ハンター氏は過去に脱税および銃器関連の罪で有罪判決を受けている。バイデン氏は、「息子が選択的で不公平な訴追を受けるのを見守ることはできなかった」と説明。
トランプ次期大統領が、元NSC高官カシュ・パテル氏をFBI長官に指名。トランプ氏はパテル氏の「アメリカ・ファースト」の姿勢と正義への貢献を高く評価し、司法長官候補パム・ボンディ氏との協力でFBIを改革する方針です。
2022年10月30日に掲載した記事を再掲載 主流メディアや進歩的な政治家は、二酸化炭素(CO2)を有害な汚染 […]
トランプ氏は、新政権の要となる経済・貿易チームの人事を発表。新政権は減税や規制緩和を柱に経済政策を推進する方針であり、米国労働者や製造業を守るための関税政策も強化する見通しだ。グリアー氏は対中強硬派として知られ、新たな貿易政策の中心人物となることが期待されている。