カブール国際空港を離陸した飛行機に乗ったアフガニスタンの人々(Marc Tessensohn/Bundeswehr via Getty Images)

「助けて…」有刺鉄線に投げ込まれたアフガンの赤ちゃん、軍人らが涙=英メディア

イスラム武装勢力タリバンが15日、アフガニスタンの政権掌握したのを受け、各国政府は自国民の国外退避を急いでいる。また、首都のカブール国際空港では、出国を希望するアフガン市民も殺到し、混乱が続いている。

飛行機に搭乗する資格のない親たちは幼い子供だけでも国外に逃がそうとして、空港を囲む有刺鉄線の向こうへと赤ちゃんを投げ込む映像がネット上に広まった。

英メディア、スカイ・ニュース19日付によると、空港へと続く道路はタリバンが管理しており、空港周辺では検問が実施されている。AK-47ライフルを振りかざすタリバン戦闘員は、道行く人の所持文書を確認し、アフガン人の空港入りを厳しく制限している。

有刺鉄線と軍用車両などのバリケードを隔てたわずか数メートルのところで、タリバン戦闘員は英国部隊と対峙していた。西側軍隊に対しては、睨みつけたり、怒鳴りつけることにとどまり、さらなる敵対行為はない。

いっぽう、タリバンを恐れている市民は「せめて子供を逃がしてあげたい」との一心で、有刺鉄線の向こう側にいる英軍人に投げる親が相次いだ。

「絶望した母親たちは、『子供を助けて』と叫びながら、(有刺鉄線越しに)子供たちを私たちに向けて投げてきた。有刺鉄線に引っかかった子もいた。残酷すぎる体験だった。一日を終えた私たち(軍人)は全員、泣いていた」とある軍人がスカイ・ニュースに語った。

他にも血まみれの子供を前にして泣きじゃくる少年の姿など、現場の様子を捉えた悲痛な動画が見る人の胸を苦しくさせている、と同メディアは報じた。

ある英国の上級幹部はインタビューで、カブール空港での悲痛な光景について語った。

「現場にいた軍人たちは極めて大きな精神的ショックを受けた。私は何人かにカウンセリングをした」と述べた。

スカイ・ニュースによれば、ベン・ウォレス(Ben Wallace)英国防相は「英国は成人の付き添いのない子供をアフガニスタンから連れ出すことはできない」としている。

(翻訳編集・李凌)

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