2021年4月22日、ニュージーランドを訪問し記者団の取材を受けるオーストラリアのペイン外相(Hagen Hopkins/Getty Images)

豪、今年末までにマグニツキー人権法を導入=外相声明

オーストラリアのマリズ・ペイン外相は5日の声明で、同国政府は今年末までに自主制裁法(the Autonomous Sanctions Act 2011)を改正すると発表した。これは、豪議会委員会が昨年末に提出した人権侵害者に科す豪州版マグニツキー法の成立を求める報告書に応じた同政府の取り組みだという。

外相の声明によると、豪政府は、国際的に懸念される重大な犯罪行為の加害者に対して、標的を絞った金融制裁や渡航禁止を可能にするために、現行の自主制裁法を改革する。

声明は、この改革では豪州の現行の国別制裁措置の枠組みを拡大し、大量破壊兵器の拡散、深刻な人権侵害、悪意のあるサイバー活動、深刻な汚職行為など、制裁が適用される行為を明確にすることにあるとした。これによって、豪政府は、制裁対象となる個人や団体に対して、より的確に金融制裁や入国禁止を科すことができるようになる。

昨年12月7日、超党派議員から構成する豪上院の外務・防衛・貿易常設委員会は、1年間の調査を経て、『犯罪、腐敗、不処罰:オーストラリアは世界のマグニツキー運動に参加すべきか』と題した報告書を提出した。

報告書は豪政府に対して、米国と同じくマグニツキー人権法を制定し、深刻な人権侵害や汚職を犯した外国人に対して、政府が査証(ビザ)や財産に関する制裁を科す権限を持つべきだと求めた。

ペイン外相は5日の声明で、豪州の制裁法の改革は、マグニツキー人権法に関する外務・防衛・貿易常設委員会の報告書への対応の一環として行われると示した。

自由党のジェームズ・パターソン(James Paterson)上院議員は同日、フェイスブックに投稿し、政府の決定は「民主主義と主権の新たな勝利だ」とした。同議員は豪州版マグニツキー人権法の立法に取り組んでいる。

議員は投稿のなかで、「モリソン政権は、人権侵害したり、汚職したり、豪州の国家安全保障を脅かしたりする外国人を取り締まるために、マグニツキー人権法のような制裁法を導入することにすでに合意した」と強調した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。