東京五輪に出場する、香港のバドミントン選手、伍家朗(Photo by ALEXANDER NEMENOV/AFP via Getty Images)

バド香港選手の黒色ウエア 親中派が非難「民主派を想わせる」

東京五輪のフェンシング・男子フルーレ個人で26日、香港の張家朗選手が優勝した。民主主義が著しく損なわれる「香港国家安全維持法」が施行されて以降、香港では抑圧的な空気が立ち込めていた。四半世紀ぶりの金メダル獲得に、街には久方ぶりに歓喜の声があがった。

いっぽう、香港代表選手が黒いウエアを着て出場したことについて、香港の親中派政党関係者は「民主派を想わせる」として非難している。

試合当日、張家朗選手の勇姿を見届けようと、大型スクリーンで東京大会を中継するショッピングモールに、数百人が詰めかけた。張選手がイタリアのダニエレ・ガロッツォ選手を15対11で下すと、吹き抜けのモールには歓声と拍手とともに、「We are Hong Kong(私たちは香港)」の声が響いた。

表彰式で中国国歌の「義勇行進曲」が流れると、香港市民はブーイングを送った。ソーシャルサイトでは、民主化デモのテーマソング「香港に栄光あれ」に吹き替えた動画がネットに拡散した。

いっぽう、バドミントンの試合では、香港代表・伍家朗選手が黒いウエアでプレーしたことについて、親中派から「黒は民主派を想起させる」と非難の声があがった。

香港の親中政党・民主建港協進連盟メンバーである穆家駿(ニコラス・ムク)氏も、伍選手のユニフォームに香港特別行政区の旗が描かれていなかったことを猛烈に批判した。

これを受けて、伍選手はスポンサーと契約更新できなかったとに触れ、「自分でユニフォームを調達しなければならず、国旗や特区の旗は行政長官の許可がなければ印刷できない規定があり、許可が得られなかった」と説明した。

また、「香港代表として誇りをもって出場している。オリンピックでは私のユニフォームではなく、アスリートとしての戦いぶりに注目してもらいたい…。ちなみに批判してもいいが、批判する前に問題が何であるかを考えてほしい」と自身のインスタグラムに投稿した。

香港代表選手団は伍選手を擁護し、親中派の批判が的外れだと憤りをあらわにした。

「大会から退くべきだ」

親中派の穆家駿氏は、混合ダブルスに出場した他のチームメンバーは、香港の旗が印刷されたユニフォームを着ているとし、「もし(あなたが)中国香港を代表したくないのであれば、大会から退くべきだ」と投稿した。

穆氏はネットユーザーの批判を浴び、一時アカウントが閲覧できない状態になった。

行政会議メンバーの湯家驊氏は、香港のアスリートに対して、黒い服を着ることは2019年の抗議運動への支援につながるとして、黒の服を避けるよう呼びかけた。

香港政府は、「バドミントンチームとの意思疎通の問題」を受けて、ユニフォームのデザインを見直すとした。

2020年7月1日、中国共産党は香港国家安全法を施行し、香港の反体制派の封じ込めを強化している。年明け早々、国際社会の懸念をよそに、香港警察は民主派の一斉逮捕に踏み切った。

また香港当局は、民主派系の新聞、蘋果日報(アップルデイリー)の創業者や幹部を逮捕したり、資産を凍結するなどして、廃刊に追い込んだ。

(翻訳編集・蓮夏)

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