タイマー設定を忘れてエアコンをつけたまま就寝すると、思わぬ病気を招くことがあります。(TKM / PIXTA) (K.Nakano / PIXTA)

「けっこう怖いエアコン病」急激な温度変化に気をつけて

猛暑の屋外からエアコンの効いた涼しい建物に入ると、確かに「気持ちいい」ですよね。

しかし、それも一時のこと。オフィスや自宅で、長時間にわたって冷房が過剰に効いた環境にいることは、決して健康的とは言えません。

台湾の漢方医・楊力さんも、こう言います。「まず、ご注意いただきたいのは、急激な温度差がある環境に突然入ると、心臓に思わぬ負担がかかることです」。

これは例えば、冬の寒冷期に、浴室の脱衣所で服を脱いだときなどに、体が急に冷えることで突発事故が生じるケースに似ています。

こちらは「ヒートショック」という用語で、以前から注意喚起がされています。実際、ヒートショックによって、心筋梗塞脳卒中などの重大な疾病を招く危険性もあるのです。要は、気温の低い環境に突然入ると皮膚にちかい血管が一斉に収縮するため、結果として血圧が上昇することが原因です。

そう考えると、夏の冷房についても、私たちはもっと安全に留意すべきではないでしょうか。暑い夏、外を歩けば当然汗をかきます。皮膚が濡れた状態になり、汗の穴も開いています。

そこで急に、気温の低い空間に飛び込んだ場合、脳だけが一時「気持ちいい」と感じる一方で、全身が一斉に血管収縮することで、体は相当びっくりしているはずなのです。当然、心臓に負担をかけ、血圧も急上昇します。

もしもあなたが外出先で、暑い屋外から思いのほか気温の低い建物内に入ったならば、すぐにハンドタオルで汗を拭き取り、サマーセーターをはおるなどして、体が感じる急激な温度変化を避けるようにしてください。

また、外部から自宅に戻る場合は、「どうせエアコンで冷やすのだから」と遠隔操作のリモコンで過剰なほど低温に設定しておくのではなく、「外気温より5度ほど低いくらい」にしておくのが望ましいと言えます。

昨今は、熱中症を予防するために「ためらわずエアコンを使う」ことが提唱されています。それは否定しませんが、あなたの心臓や脳を守るために「急激な温度変化を避ける」ことも、ぜひ忘れないでいただきたいのです。

エアコンは、人の体に優しく使用してこそ意味があるものです。タイマーや温度設定機能を適切に使いましょう。

就寝時にエアコンを使うこともありますが、室温は28度ほど、タイマーを2時間以内に設定するのが望ましいと言えます。

布団や毛布をかぶれば、タイマー設定をしないで一晩中冷房にしておいても、体の寒さは感じないかもしれません。ところが、それをすると必ず、喉や気管支などの呼吸器がダメージを受けます。「一晩たったら夏風邪をひいていた」などということがないように、くれぐれもご注意ください。

エアコンは、冷房であれ暖房であれ、適切に使ってこそ健康維持に役立つものです。

猛暑の夏は、まだまだ続きます。

不注意が招く「エアコン病」には、なりたくないものですね。

(翻訳編集・鳥飼聡)

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