2021年7月11日、キューバのミゲル・ディアスカネル政権へ抗議デモを行う市民(Yamil Lage/AFP via Getty Images)

「独裁政治に終止符を」キューバ社会主義政権に数千人が抗議デモ

キューバで11日、共産党政権下で人権侵害や経済状況の悪化に苦しむ市民が政府への抗議デモを行なった。共産党一党独裁の同国において、デモは異例。ディアスカネル大統領治安部隊を出動し、デモ隊に立ち向かうよう支持者に呼びかけた。

ソーシャルメディアに投稿された動画では、首都ハバナなどでシュプレヒコールを上げながら歩く大群衆が写っている。ミゲル・ディアスカネル政権を「恐れない」と叫ぶ様子や新型コロナウイルスワクチンを求める様子がとらえられ、市民は独裁政権の終焉を求めた。

キューバはこの30年間で最悪の経済危機に直面している。米国からの制裁に加え、中共ウイルスの流行による観光業や輸入の落ち込みで、国内情勢は悪化の一途をたどっている。ガス、電力、ワクチンの不足が深刻化し、国民の不満が爆発した。

投稿された映像では、「独裁政権を打倒せよ」、「自由」、「祖国と生命」といった叫び声も聞こえる。

ロイター通信は地元住民のクラリス・ラミレスさんの話を報じた。「食料を買おうと思って町を歩いていたら、たくさんの人がいた。中には看板を持って抗議している人もいた」「彼らは、停電や薬がないことに抗議している」

ディアスカネル氏は、抗議デモは米国の経済制裁のせいだと火消しを図った。これは他のマルクス主義政権がしばしば繰り返す主張と類似する。

同氏はさらに国営テレビを通して、「闘いの命令は下った。街へ出よ、革命家たち!」とデモ隊に立ち向かうよう支持者に呼びかけた。

ディアスカネル政権の対応に対し、ジェイク・サリバン米大統領補佐官は「米国は、キューバ全土における表現と集会の自由を支持し、普遍的な権利を行使している平和的なデモ参加者に対するいかなる暴力行為を強く非難する」とツイッターに投稿した。

キューバ系米国人のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)は、「独裁政権の無能さ、貪欲さ、抑圧に対する(国民の)不満が爆発している」と批判した。さらに同氏は、配備された治安部隊にも触れた。「キューバの共産党弾圧部隊がやってきた…未だにアメリカの大手メディアはほとんどこのことを報じていない」

キューバから亡命してきた父を持つ、フロリダ州議会議員のマリア・エルビラ・サラザール氏は、ディアスカネル政権は現在、島内のインターネットを遮断していると述べた。

米マイアミ市長のフランシス・スアレス氏は米国主導の介入を呼びかけた。マイアミにはキューバからの亡命者が多数在住する。

同氏は記者会見で、「キューバ人は専制政治を排除し、自分たちで統治する価値があり、その準備ができている」と強調した。「それは(専制政治)今日終わらせることができ、今日終わらせなければならない。この瞬間は、ニカラグア人やベネズエラ人など、半球の何百万人もの人々の自由を意味する」

今回のような大規模なデモは、多くのキューバ人が船で米国に亡命した1994年のマレコナソ蜂起以来とされる。

(翻訳編集・蓮夏)

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