中国建築上の十の奇跡(四)――霊渠
霊渠は秦の始皇帝が築いた運河で、広西チワン族自治区興安県にあり、全長34キロメートルです。紀元前218年に秦の始皇帝が中国を統一し、興安県内の湘江と漓江を結ぶ人工運河の建設を命じました。紀元前214年に霊渠が完成し、その年、秦は嶺南地区(南の地)を平定し、秦王朝の領地を広げました。
霊渠は犂の口、大天秤、小天秤、泄水天秤、陡門(水門)など、高度な技術によって築き上げられました。
大天秤と小天秤は、川の水量と水位を調節する施設であり、主に犂の口の後方に設置されます。「犂の口」は運河を分流させる役割を果たしているだけでなく、洪水から大、小天秤を守ることもできます。泄水天秤は大、小天秤とほぼ同じ役割を果たし、主に洪水が発生した時に溢れた水を湘江の古い川底(以前の湘江)に排泄させるための施設で、洪水の衝撃から堤防を守ることができます。陡門(水門)は全長34kmに及ぶ南北の運河に設置され、水位を調節して船を通航させる施設です。一般的に水位が低く、流れが早い場所に造られ、36か所も設置されたことから、霊渠の水門は世界の水門の父と呼ばれています。
霊渠は秦の時代の三大水利施設の一つで、都江堰と共に名を知られており、世界で最も古い運河の一つと言われています。2000年が経過した今でも水運と灌漑に使われており、中国の国家級重要文化財に指定されました。
霊渠は湘江と漓江を結んだだけでなく、長江とも通じており、南北の運河を開通したことで「世界古代水利建築の明珠」とも称されています。
(作者:羅瓊 翻訳編集・天野秀)
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