新疆ウイグル自治区ホータンにある「再教育キャンプ」、監視塔らしき建物に人影がみえる(GREG BAKER/AFP via Getty Images)

在日ウイグル人女性研究者、新疆の収容所で死亡 「中国警察の誘いで帰国」

日本から中国に帰国した29歳のウイグル人女性研究者が昨年12月、新疆ウイグル自治区の収容施設で死亡した。この事件は、ソーシャルメディアで注目を集めた。

2日付の米政府系ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、ミルフレ・エルキン(Mihriay Erkin)さんは新疆にいる両親の安全を心配し、日本での学業を中断し、2019年6月に帰国した。昨年2月に拘束され、カシュガル市近郊の収容施設に送られた。

ミルフレさんは、2013年に上海交通大学で植物バイオテクノロジーの学士号を取得。2014年に来日し、東京大学に留学。2018年には奈良先端科学技術大学院大学に入学し、バイオエンジニアリングを専攻していた。

彼女が帰国を決意した時、父親のエルキン・アユップ(Erkin Ayup、元中国政府高官)さんと叔母のサジディグル・アユップ(Sajidigul Ayup、元高校教師)さんは、新疆当局に2年近く拘束されていた。

ミルフレさんの叔父、ノルウェー在住のウイグル人権活動家のアブドゥヴィリ・アユップ(Abduweli Ayup)氏はVOAに対し、「彼女に新疆に戻らないように忠告した。しかし、中国の警察は彼女の母親を使って彼女を誘い出したとき、彼女はその忠告を無視した」と述べた。

「もし私が死んだら、もしお墓があったら、私のお墓に牡丹の花を供えてください」というのがミルフレさんの最後の言葉だった。

アブドゥヴィリ氏は「このニュースを知ったのは、姪が中国当局に殺されてから約半年後のことだ。彼女に墓があるかどうかはまだわからない」と語った。

ミルフレさんの父親と叔母は、中国当局からそれぞれ12年と14年の懲役刑を言い渡された。彼女は一家の長女であり、母親と弟は現在行方不明である。

海外のウイグル人もターゲット

先週、海外のウイグル人活動家たちはソーシャルメディアでミルフレさんを追悼する集会を行った。アブドゥヴィリ氏は集会で、姪の死は中国当局による尋問や拷問が原因だとし、中国政府に具体的な説明を求めている。

アブドゥヴィリ氏は、「この悲劇は、逮捕、投獄、拷問が今も(中国で)行われていることを示している。彼ら(中国共産党)は我々を殺している。中国共産党は、ウイグル人の学者や知識人を特に標的にしている。彼らが人民の指導者になることを恐れているからだ」とし、「何百万人ものウイグル人がこの運命に直面している。(中略)手遅れになる前に、世界は今すぐ行動を起こす必要がある」と呼びかけた。

ウイグル人女性人権活動家で、米ワシントンに拠点を置く人権団体「ウイグル・ムーブメント(Campaign for Uyghurs)」の責任者であるルシャン・アッバス(Rushan Abbas)氏は、VOAの取材に対し、北京は、新疆での人権侵害を懸念する海外のウイグル人への取り締まりを強化していると語った。

同氏の妹、中国で医師を引退したグルシャン・アッバス(Gulshan Abbas)さんは、2018年9月に失踪した。中国外務省は、昨年12月31日の定例記者会見で、グルシャンさんが同年3月に中国当局から懲役20年の判決を受けたことを明かした。

非政府組織(NGO)である「オクサス中央アジア研究会(Oxus Society for Central Asian Affairs)と「ウイグル人権プロジェクト(Uighur Human Rights Project)」が共同で発表した最近の報告書によると、海外に住む多くのウイグル人は、中国政府から通信アプリ「WeChat(ウィーチャット)」のメッセージや親戚からの電話で帰国を促されたが、帰国するとすぐに逮捕されたという。

(翻訳編集・王君宜)

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