中国北京市にあるCGTN親会社である国営中央テレビ(CCTV)本部ビル(GOH CHAI HIN/AFP/Getty Images)

中国国営CGTN、英でインフルエンサーなどを募集 プロパガンダ強化で

英紙タイムズ16日付によると、中国当局は対外プロパガンダを強化する目的で中国メディア、グローバルテレビジョンネットワーク(CGTN)を通じて、英国の大学生やインフルエンサーを集めている。英国政府は今年2月、中国国営中央テレビ(CCTV)傘下会社、CGTNの同国内での放送免許を取り消した。

CGTNはSNS上で中国共産党を擁護する大学生らに約7000ポンド(約108万円)ほどの高額な奨励金を与え、プロフェッショナル・ジャーナリズム・トレーニングという研修に参加させている。さらに、大学生やインフルエンサーをCGTNのパートタイムの従業員、または正社員として採用している。

同報道では、CGTNが今年4月、メディア・チャレンジャーズ(Media Challengers)というイベントを開始した。このイベントで、同社は全世界から英語を使って報道を行うキャスター、写真記者、SNS上のキーオピニオンリーダー(KOL)などを募集した。これらの人たちは、中国当局を支持する論調を展開するだけでなく、欧米各国で中国当局に批判的な報道に反論する役割も担うという。

タイムズ紙は、リーズ大学とマンチェスター大学を含む複数の英国の大学生がこの活動に参加したと伝えた。学生のなかで少なくとも2人は中国籍ではない。

CGTNは同公式ウェブサイトで、活動に参加した学生のインタビュー映像を公開している。その中の1人は応募動機について「欧米社会の中国に対する偏見を正すためだ」と語り、中国文化を宣伝する旅動画を作っていきたいとアピールした。

在香港イギリス領事館の元職員、鄭文傑(サイモン・チェン)氏は、中国当局の対外プロパガンダ機関が英国の大学に影響力を浸透させたことについて「想定内のことだ」と大紀元に語った。

「中国当局は莫大な資金を使って、中国人留学生や外国籍の人々を引き付けようとしている。外国籍の人々は中国共産党に好感を持っているか、あるいは左派の人だろう」と同氏は述べた。

鄭氏は、香港で大規模な抗議デモが起きた2019年8月、中国当局に拘束され、広東省深セン市に連行された。同氏は拘束中、当局から激しい尋問と拷問を受けた。その後、同年11月に英国に亡命した。

同氏は、中国当局は、SNS上で影響力を持っている若者、特に外国籍のインフルエンサーがプロパガンダ工作に最適だと認識していると指摘した。「中国共産党は英語で党を賛美することに価値を見出している」という。

香港出身でリバプール大学で助教授を務めるマイク(仮名)氏は、中国人留学生は留学生メンバーだけのグループを作り、さらに非民主主義国からの留学生を勧誘していたとした。同氏は、中国当局は留学生を通じて大学内で影響力を拡大していると懸念した。「授業で共産党政権を批判する発言をしたら、すぐに反論される」という。

英国では、一部のブイロガー(vlogger、動画版ブログを利用するネットユーザー)が中国当局のプロパガンダ宣伝に関わったことで批判を受けている。

CGTNは4月ツイッター上で、そのブイロガーの1人、ジェイソン・ライトフット(Jason Lightfoot)氏が新疆ウイグル自治区の町を歩く映像を投稿した。映像の中で、ライトフット氏は、同自治区でウイグル人住民が迫害されいることを否定し、欧米メディアが中国の台頭を恐れて中国当局を攻撃するニュースをでっち上げていると批判した。

(記者・文苳晴、翻訳編集・張哲)

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