大紀元

【医学古今】 見えない経絡の実体

 現代医学の解剖学では、網のように全身に張りめぐらされている血管と神経を見ることができます。しかし、漢方医学に記載されている経絡の存在は現在も確認されていません。

 漢方医学の理論によれば、経絡は網のように全身に張りめぐらされており、中に真気(しんき)が流れています。経絡の上にツボが分布しており、これが鍼灸治療の時に刺激するポイントになっています。経絡は鍼灸治療だけでなく、漢方医学のすべての治療、例えば推拿(すいな)、按摩、点穴(てんけつ)、整骨、生薬治療などにも欠かせない理論の一つです。

 病気の発生原理について、漢方医学では、経絡の流れの滞りに関わっているとみています。何らかの原因で経絡の流れが悪くなったところに病気が発生します。鍼灸治療や漢方治療も、主に経絡の流れを邪魔するもの(邪気)を除去し、その流れを回復する事を目的としています。

 漢方医学の理論では、経絡は生命体の構造の一部分だと認識しています。人間だけではなく、動物や植物にも経絡が存在しています。従って、鍼灸治療は動物や植物にも同じ様に効くと考えられています。

 経絡は生命体の一部として存在していますが、現代科学では認識することができません。古代の人たちがどのように経絡を認識できたのかに関しては、諸説あります。

 そのうちの一つは、古代の修煉法に関わっています。修煉者は、自分の生命の質を高める過程で、現代人の言うさまざまな「超能力」を身に付けます。これらの「超能力」で人体を観察すると、経絡の存在が見えるようになるのです。中国明朝の著名な医学者、『本草綱目』の著者である李時珍(りじちん)は『奇経八脈考』という著作の中に「内景隧道、唯返観者能照察之」(経絡というものは自分の体内が見える能力を持つ人しか観察できない)と書いています。

 

(漢方医師・甄 立学)

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