ほとんどすべての植物性食品と一部の海産物は、コレステロールを含まない食品です。(Shutterstock)

コレステロール値を下げる食品 その摂取と注意点

血中のコレステロール値が高いことは、心血管疾患のリスクが高くなるなど、健康を保つ上での不安要因となります。では「コレステロールゼロ食」を多く食べれば、コレステロール値は高くならないのでしょうか。コレステロールがゼロの食品とは、どういったものですか。そうした疑問に、全てお答えいたします。

コレステロールゼロ食は、身近にあります

「コレステロールゼロ食」といっても、珍しいものではありません。実は、ほとんどの植物性食品と一部の海産物には、コレステロールが全く含まれていないのです。

台湾台中市にある林新醫院の資料によると、コレステロールゼロの食品として、以下のようなものがあります。

米麦類として、白米、玄米胚芽米、アワ、ハトムギ、エンバク、ライ麦、そば、小麦、大麦、トウモロコシなど。根茎類として、サツマイモ、ジャガイモ、里芋、カボチャ、ヤマイモ、レンコンなど。豆類や果実では、小豆、緑豆、花豆、そら豆、ライ豆、栗、蓮の実、菱の実など。枝豆、黒豆、大豆製品(豆腐、豆乳、豆干)などの豆製品も同様です。

野菜類として、キャベツ、さつまいもの葉、空芯菜、もやし、にんじん、きゅうり、ヘチマ、ゴーヤ、白菜、トマト、玉ねぎ、きのこ類など。フルーツは全般的にコレステロールゼロです。リンゴ、グアバ、パイナップル、梨、オレンジ、ブドウ、バナナ、パパイヤ、キウイなど。

一般的な植物油であるオリーブ油、カメリア油、ヒマワリ油、マスタード油、大豆油、ピーナッツ油、ごま油など。ナッツの種子類としてはヒマワリ種、カシューナッツ、アーモンド、クルミ、ゴマ、落花生などがよく食べられていますが、いずれもコレステロールを含みません。

最後に、動物性タンパク質のなかで、海産物のナマコはコレステロールを含まない数少ない食べ物です。

全粒の穀類、根菜類、野菜や果物、豆類、植物油など、全ての植物性食品にコレステロールは含まれません。(Shutterstock)

コレステロール調節に役立つ「植物ステロール

植物性食品には、コレステロールはありませんが「植物ステロール」を含むものがあります。植物ステロールは、血中コレステロールを調節し、腸から吸収されるコレステロール量を減らすことができます。

植物ステロールの含有量は、油脂の多い食品で比較的高く、野菜での含有量は少ないとされています。オレゴン州立大学によると、植物ステロールを豊富に含む食物は、精製されていない植物油、全粒粉シリアル、ナッツ類、豆類などです。

コレステロール値を下げるため、実践したいこと

可苡栄養コンサルティングセンターの栄養士・黄苡菱氏は「ホウレンソウなどの野菜に比べて、ゴマや杏仁(アーモンド)の植物ステロールの含有量が高いことが分かっています。しかし、植物ステロールを多く摂取するためには、いろいろな種類の野菜を食べることが必要です」と言います。

コレステロール値を抑えたい人にとって、コレステロールゼロの食物を摂ることは素晴らしい選択肢になります。しかし、それだけで本当にコレステロール値が下がるのでしょうか。黄氏は「コレステロール値を下げるには、飽和脂肪酸を減らすことが重要です」と強調します。飽和脂肪酸とは、一般に固形で、乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれているパルミチン酸、ステアリン酸などです。

高コレステロール血症の患者は、コレステロールよりも飽和脂肪酸の摂取量を控えなければなりません。飽和脂肪酸は、コレステロール代謝に影響を与えるため、飽和脂肪酸の含有量が高い脂肪肉を食べすぎるとコレステロール値が下がりにくくなります。どうしても肉類を食べたい時は、脂肪肉を避けて赤身肉にするか、代わりの魚料理にするとよいでしょう。

魚のコレステロール含有量は低く、高コレステロール血症患者に適しています。(Shutterstock)

植物性でも食べ過ぎないでほしい食品

もちろん、コレステロールの摂取量も控えて、250から300㎎以下にしなければなりません。穀物や野菜、豆類などのコレステロールゼロ食品を多く食べる一方、動物の内臓肉などの高コレステロール食品は控えてください。

なお、コレステロールゼロ食品の全てが良いわけではありません。ヤシ油、パーム油、大豆油や菜種油などの植物油を原料とし、常温でクリーム状に加工された製品もあります。これらの食物は、コレステロールはゼロですが、トランス脂肪酸を多く含んでいます。こうした食品は植物性とは言え、動物性の飽和脂肪酸よりも、心血管系およびその他の病気のリスクを高めることがあります。

また穀類は、豊富な植物ステロールだけでなく、水溶性食物繊維も含んでいます。コレステロールの腸内吸収を減少させることができますので、適切な量の穀類を、きちんと食べましょう。

(文/蘇冠米 翻訳編集・鳥飼聡)

 

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