米国立衛生研究所(NIH)は外国政府との関係を申告しなかったなどの問題を持つ研究者100人を排除した。写真はイメージ写真。(SAUL LOEB/AFP via Getty Images)

米NIH、外国との関係開示しない100人以上の学者を排除

米国立衛生研究所(NIH)の責任者は22日、連邦議会で「これまでに問題を持つ可能性のある研究者を500人以上特定し、すでに100人以上の研究者を排除した」と証言した。同責任者は中国共産党の人材招致計画「千人計画」を非難した。

ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の報道によると、NIHは米国の研究者に対する外国政府の不当な影響を懸念し、2018年8月から調査を開始した。主に3つの懸念事項について調査した。1つ目は、NIHが資金を提供している機関の一部の研究者が、外国政府や企業からの多額の資金提供を開示していないこと。2つ目は、NIHが支援する生物医学研究で作成された知財権の対象となる情報が、外国を含む他の組織に転用されていること。3つ目は、一部の査読者が助成金申請書の情報を守ろうとせず、場合によっては外国企業への開示や助成金の決定に影響を与えようとすることを含む、などである。

 

NIHが発見した問題ありの可能性のある研究者は「500人以上」

NIHの外部研究責任者のマイケル ・ラウアー(Michael Lauer)氏は22日、米上院で開かれた「米国の研究員を外国からの不当な影響から守る方法」に関する公聴会で、「NIHの調査は現在も進行中であり、これまでに200以上の研究機関に関わる500人以上の研究員が問題を持つ可能性のあることがわかった」「すでに100人以上の研究者は辞任、解雇、早期退職などの形でNIHのシステムから排除した」と証言した。

同氏はまた、「そのうち34人が衛生局の観察総監室に引き渡され、起訴や民事和解に至ったケースもあった」と付け加えた。

ラウアー氏は聴聞会上では調査および解雇された研究者の民族的背景を明らかにしなかった。しかし、同氏は昨年、上級諮問委員会への内部報告会で、「調査した87機関の189人の科学者のうち、82%がアジア系だった」「彼らは中国の人材招致プログラムに狙われていたからだ」と明かしていた。

中国の「人材招致プログラム」に米は懸念表明

中国は、機密技術を盗むために2008年から海外のハイレベル研究者を招致する「千人計画」を始めた。米研究者は厚遇の見返りとして、機密情報を盗み出し、知的財産権を取得して中国に渡していた。

そうして中国は米学術界への浸透を図り、米国の研究結果を複製しようとしている。ワシントンは、北京がこれらの研究者を通じて、米国の科学研究の成果、企業機密、知的財産などを盗み出し、それを経済、軍事、技術の面で米国を追い越そうとする中国の戦略に利用することを懸念している。

NIHの調査もその対抗措置の1つとみられる。

ノースカロライナ州選出のリチャード・バー(Richard Burr)共和党上院議員は22日の公聴会で、「中国から来た人たちは組織的な取り組みを行っている。彼らは中国政府からの支援を得て、米国で教育を受けた。そして米国で10年間働き、学べるだけ学んだ後、入手可能な、盗める限りの全てを中国政府のために持ち帰っている」と指摘した。

同氏はさらに、「中国政府は海外の中国人や外国籍の研究者の採用にも努めている。これらの人々は、中国政府が提示する好条件に惹かれる可能性がある」と述べた。

ラウアー氏:NIHの調査は中国人研究者を対象としていない

ラウアー氏は、「米国で働くほとんどの中国人研究者は、人類のために尽力しており、公正で誠実に仕事を行っている。このことは我々が機会あれば強調していることだ」とし、NIHの調査では外国出身でも中国人でもない人々も違反していることがわかっている。違反した者は米研究機関で働く研究者のごく一部に過ぎない」と強調した。

NIHの報告「千人計画」に焦点

NIHの諮問委員会が2018年12月に発表した報告書によると、米国内の一部の外国人研究者が米政府からの資金を受け取りながら、米国の知的財産を海外に移転している。そのため、米各地の学術機関が被害を被っていると指摘した。

同報告書では、海外から優秀な人材を集める中国の国家プロジェクト「千人計画」に注目した。

米国防総省は以前、「千人計画」を中国が米国の技術、知的財産および独自技術を取得するための手段と見なした。

同報告書の共同著者でNIH諮問委員会のM.ロイ・ウィルソン(M. Roy Wilson)は「千人計画に選ばれるための重要な条件は、知的財産にアクセスできることだ」と述べた。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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