≪医山夜話≫ (44)
帯状疱疹
帯状疱疹の邪気は、まるで泥棒のようなものです。突然痛みの症状が現れますが、皮膚に発疹が出るまで、なかなかその正体を突き止めることができません。病状が進み、角膜を侵すまでに至ると角膜潰瘍になり、失明することさえあります。従って、早期の治療が不可欠となります。漢方医学ではこの病気を「蛇纏(じゃせん:蛇のように体に巻きつく)」、或いは「火丹(かたん:火のように赤い発疹)」と称します。
ある日、肩や首、肘などに焼けるような痛みがあると訴える女性患者が私の診療所に来ました。痛むという部位を検診しましたが、外見からは何の異常も見えず、肩関節の運動機能にも異常はありませんでした。しかし、彼女は非常につらそうで、微熱も出ています。当時は風邪が流行っていたので、彼女も風邪のせいで身体のあちこちに痛みが出ているのだと私は思っていました。
しかし、鍼を刺した瞬間、彼女の右肩に虫に刺されたような濃い赤色のできものがあることに気づきました。「いつ虫に刺されたのですか?」と聞くと、彼女は「刺された覚えはありません」と言いました。当時は真冬の時期で、虫に刺されたとは考えにくい状況でした。注意深く観察すると、一つの小さな水ぶくれを発見しました。彼女が訴える症状を考えると、こいつ(邪気)は、きっとあの「泥棒」だ、と私は確信しました。
関連記事
SNSの利用を1日30分に減らすと、1週間で抑うつや不安、不眠が改善する可能性が研究で示唆。若者のメンタルヘルスとスクリーン習慣の関係を解説。
進行が速く「がんの王」とも呼ばれる小細胞肺がん。それでも転移を繰り返しながら長期生存した例があります。免疫療法や最新検査ctDNAの可能性、見逃せない症状と予防のポイントを医師が解説します。
「食物繊維を増やせば大丈夫」は本当?75件超の臨床試験から見えた、便秘改善に有望な食品とサプリとは。キウイやマグネシウム水など、根拠に基づく最新対策をわかりやすく解説します。
離婚率が高まる今こそ見直したい、古典が教える夫婦円満の知恵。「陰陽の調和」や「琴瑟相和す」に込められた意味をひもとき、現代の結婚生活に生かすヒントを探ります。
忘れっぽさは年齢のせいだけではないかもしれません。脳には「夜の清掃システム」があり、睡眠や食事、運動でその働きを高められる可能性があります。アルツハイマー予防につながる最新知見と具体策を解説します。