WHOのウイルス起源の調査報告、専門家が中国の関与に疑問「出さないほうがマシ」
米国など14カ国は3月30日、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の起源に関するWHOの調査報告に懸念を表明し、報告書の遅れや重要なデータへアクセスできていないことを指摘した。また、専門家は調査に中国が大きな権限をもっているとし、「中国の検閲を受ける報告書は出さないほうがましだ」と報告書の公正性に疑問を呈した。
声明を発表した14カ国には、オーストラリア、カナダ、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、イスラエル、日本、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、韓国、スロベニア、英国、そして米国が含まれている。
声明は「我々は共に、COVID-19パンデミックの起源について、干渉や不当な影響を受けない、透明で独立した分析および評価を支持する」としている。
また、「我々は、WHOが最近中国で行った調査に関して共通の懸念を表明する」とし、調査が「大幅に遅れた」こと、そして「完全な生データとサンプル」へのアクセスを欠いていることを強調した。
共同声明では直接言及されていないが、中国共産党は意図的にウイルスの真実を隠し、世界的な危機に発展させたと批判されている。中国政府は何カ月もの間、国際的な調査の要求を拒否し、今年1月になって初めて、WHOが率いる外国の専門家チームが武漢で2週間の調査を実施し、中国の専門家と情報交換することを認めた。
10人の専門家から成るWHOのチームのうち、2人がビザの問題を理由に入国を拒否された。中国外務省の華春瑩報道官は、これについて「誤解」によるものだとした。別のチームメンバーであるオーストラリアの微生物学者、ドミニク・ドワイヤー氏は、2019年12月に中国の保健当局が確認した武漢の野生生物市場周辺の174症例、そしてその他の初期症例の生データを要求したが、生データではなく、データの要約しか提供されなかった。
テドロス氏の見解
いっぽう、WHOのテドロス事務局長は、調査は「十分に広範囲ではなく」、専門家らは中国滞在中に重要な情報を入手するのが困難だったと述べた。
WHOの報告書は、確固とした結論は出していないものの、実験室からの漏洩の可能性は「極めて低い」としている。コウモリから動物を介して人間に感染した可能性が「最も高い」としているが、「中間宿主は依然として不明だ」という。
テドロス氏は3月30日、「研究チームは、実験室からの漏洩の可能性が最も低いと結論付けたが、これにはさらなる調査が必要であり、場合によっては専門家による追加的な中国訪問が必要であり、私はその準備ができている」と彼は付け加えた。
「WHOの見解としては、すべての仮説の可能性が残っている。この報告書はとても重要な始まりだが、終わりではない。私たちはまだウイルスの起源を発見していない。科学的証拠を元に、全ての可能性を調査し続ける必要がある」
専門家や議員からの批判
専門家と議員らは、中国共産党が調査に大きく関わっていると指摘し、再び隠蔽工作に従事したと非難した。
WHOの顧問でバイデン大統領の元スタッフ、そしてアトランティック・カウンシルの上級研究員でもあるジェイミー・メツル氏はCBSに対し、中国での調査はソ連がチェルノブイリ原発事故の原因を調査するようなものだと語った。ソ連当局者は1986年の原発事故の被害を隠蔽し、世界に知らせなかったことで非難された。
「WHOは、調査チームのメンバーを選ぶ際に中国が拒否権をもつことに同意した。さらにWHOは、ほとんどの場合において、中国が一次調査を行い、その結果をWHOの専門家と共有することに同意した。そのため、WHOの専門家は一次調査を行うことはできなかった」と彼は語った。
いっぽう、WHOの報告書が発表される数日前、米疾病予防管理センター(CDC)の元所長、ロバート・レッドフィールド博士はCNNに対して、2019年9月か10月に中共ウイルスが武漢の研究所から「流出」したと考えていると語った。
「武漢におけるこの病原体の最も可能性の高い起源は、研究室からの流出だと私は今でも考えている。他の人たちはそれを信じていないが、それでも結構だ」とレッドフィールド氏は述べた。「科学はやがてそれを解明するだろう。研究室の呼吸器病原体が研究員に感染することは珍しくない」
マイケル・マッコール下院外交委員長(共和党・テキサス州)は、予定されていた報告書の発表に先立って声明を発表し、「WHOは、中国共産党が報告書の作成において、このように大きな権限をもつことを許してはならなかった」とWHOの対応を批判した。
「中国共産党によって検閲された報告書を出すくらいなら、全く報告書を出さない方がましだ。中国共産党はこれを使ってウイルスに関する誤った情報を拡散し続け、ウイルスを拡散させた責任を隠蔽し続けるからだ」と彼は付け加えた。
(大紀元日本ウェブ編集部)