チベットの光 (31) 受けられない灌頂
ウェンシーが堡塁を七層まで建て終えた時、ある施主がマルバに灌頂を願い出てきたので、その儀式を執り行うこととなった。師母は心の中で思った。「この怪力君は一心に法を求めている。この灌頂の儀式に機会を借りて、師父に法を求め灌頂してもらえばいいわ」。そしてウェンシーに言った。「怪力君、あなたは本当によく働きました。この灌頂の儀式を借りて、あなたもついでに灌頂を受ければいいわ」
ウェンシーも思った。「ここ数年、私一人で山の上に多くの建築工事をしてきたが、いっぱいの泥、一杯の水も、誰一人の支援も受けなかった。このたびの大規模工事だって、さっそく順調に仕上がりつつある。師父だって、きっと私にも灌頂をしてくれるにちがいないぞ」
こうしてウェンシーは灌頂の儀式の時、師父を礼拝したうえで、さっそく灌頂を受けるその席上についた。師父はそれを見ると彼に尋ねた。「怪力!おまえは灌頂の供養をしたのか?」
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