古代中国の物語

質素な宰相

春秋時代、魯の国(現在の山東省)に李文子(り・ぶんし)という宰相がいました。李文子の家は非常に裕福でしたが、当時の高官としてはめずらしくその暮らしは質素なものでした。

孟献子の子・孫仲(そんちゅう)が李文子を訪ねてきた時のことです。孫仲は「あなたは宰相の地位にあるのに、家族の着ているものは質素なもので、馬が食べているものといえば粗末な餌ではないか。皆はあなたを金にうるさいケチな人間とみるだろう。宰相がこんなことでは国家の威信に関わる」と言いました。

李文子は答えました。「もちろん家族が上等な衣を着て、馬たちが肥えるのは結構なことでしょう。しかし多くの庶民は粗末な食事をとり、古着を来て過ごしています。私は自分と庶民との間に差をつけたくないのです。それに国の威信を上げるのは、高官が着ている衣服や馬ではありません。高潔で徳のある高官こそ、国を繁栄させるのです」

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