【ほっこり池】生きる顔つき

 水上(みずかみ)勉さんのエッセイ集『生きるということ』(講談社現代新書)を、40年来の愛読書にしています。

 今も「ほっこり」の原稿に向かいながら、その一冊を手にしています。ふと目に留まったのは、本のなかにある「生きる顔つき」という一編の「父母の顔をひきずって生きる」という小見出し。水上さんは「ああ、人間は、みな父と母の土地で、同じ顔にもどって死ぬのかな、と思ったりする」と書いています。

 私事で恐縮ですが、だいぶ以前に他界した私の父は、私とは人生の価値観が異なり過ぎていたため、ときに、自分の親でありながら激しく憎む対象でした。その父親に、もとは母親似であった私の顔が、なんと確実に似てきているのです。

 不思議なものですね。幸いなことに今は、もし父親が生きていれば、一緒に温泉に入れる気持ちになりました。

(慧)

関連記事
産後うつ病は、母親の7人に1人が経験するとされます。症状を見逃さないための兆候や治療法、そして家族で支える方法を紹介します。
日本でも人気の中華料理・刀削面はもともと山西省の一般家庭の主食でした。太くもちもちの面にパンチの効いたつけ汁を絡めて食べるのも最高ですが、料理人の手慣れた包丁さばきを鑑賞することもこの料理ならではの醍醐味と言えるでしょう。実は刀削面の調理法は歴史と深い関わりがあり、知られざる誕生秘話がそこにはあります。
ほうれん草は栄養満点のスーパーフード。目の健康や心臓病予防、がん対策、さらにはダイエットや肌のアンチエイジングにも効果が期待できます!食卓に取り入れて、健康的な毎日を目指しませんか?
中国には、「一日の始まりに必要な7つのものがあり、それは、薪、米、油、塩、たれ、酢、お茶である」ということわざがあります。お茶は中国の文化の一部としてなくてはならないもので、客人にふるまったり、食後にたしなんだり、その長い歴史の中で育まれてきました。
世界中の美しいカフェ10選を巡る旅へ。歴史と芸術、文化が交錯する特別な空間で、至福の一杯を味わいませんか?