「雪の色を奪ひて咲ける梅の花、今盛りなり見む人もがも」。
万葉の歌人、大伴旅人(665~731)の作。今から1300年前の飛鳥から奈良時代の人です。
旅人と書いて「たびと」と読むお名前が、なんとも良い響きではありませんか。息子の家持(やかもち)とともに『万葉集』に多くの歌がのこっています。
「雪の白さを奪うかのように、純白に光る梅の花。今が盛りのこの梅を、見る人があってほしいものだ」。というわけで、元号「令和」のもとである「梅花の宴」に咲いているのは白い梅ですね。紅梅が中国から日本に入ってくるのは、平安時代の初めらしいです。
大伴旅人さんも、まさか自分が主催した春の宴が21世紀の日本で元号の典拠となり、日本人が同じように花を愛でているとは思いもかけなかったでしょう。
白雪の残るに似たり梅の花。
(慧)
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