写真は2020年9月、ペンシルベニア州におけるトランプ氏の集会に参加するQアノン支持者(Photo by Jeff Swensen/Getty Images)

ビッグテック企業、Qアノンなど「暴力誘発ネットワーク」を相次ぎ削除

大手SNSのフェイスブック(Facebook)は昨年8月以降、Qアノンなど「暴力を誘発する陰謀ネットワーク」や「軍国主義の社会運動」に関連するコンテンツは、公共の安全性に危険をもたらすとして、フェイスブックおよび傘下のSNSであるインスタグラム(Instagram)にある、計7万8000以上のアカウントを削除したと公表した。

フェイスブックは声明で、「私たちのプラットフォーム上でこれらの運動やグループを組織化し、促進しているアカウントに注目し、(検閲などの)対応を強化し続ける」とした。また、こうしたグループは常に取り締まりを避け、検閲をくぐろうとしていると指摘した。「人々の安全を守るために、彼らがどのように進化していくかを研究し続ける」と付け加えた。

これらの反社会的とみなすグループやイベント、アカウントの削除方針について、フェイスブックは昨年10月に発表していた。今月19日の更新版によれば、昨年8月~11月30日までの間に、ポリシー違反として約3200ページ、1万8800のグループ、100のイベント、2万3300のFacebookアカウント、7400のInstagramアカウントを削除した。同時に、Qアノンに関するポリシー違反で約3000ページ、9800のグループ、420のイベント、1万6200のFacebookアカウントと2万5000のInstagramアカウントを削除した。

FOXビジネスの22日付の報道によれば、フェイスブックの広報担当は、1月12日時点で全体で約7万8000件のアカウントを削除したと答えた。

大手SNSのツイッターや動画共有サイトのユーチューブなど他のビッグテック企業も、ここ数週間で「危険なグループ」とみなす数万のアカウントを削除した。

ツイッターは11日、「これらのアカウントは、有害なQアノン関連のコンテンツを大規模に共有し、サービス全体でこの陰謀論の伝播に専念していた」として、同月6日に起きた米国議会議事堂襲撃事件を引き合いに出した。

この動きの発端は、ツイッターがトランプ氏のアカウントを永久停止したことにある。ドイツのアンゲラ・メルケル首相、メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領、そして保守派議員、電子フロンティア財団、米国自由人権協会など複数の市民団体は、トランプ氏のアカウント停止を非難した。

米コーネル大学のMor Naaman教授の研究チームは24日、ツイッターにおける選挙不正に関する主張と、それを推進あるいは否定するアカウントについて、データ分析報告「VoterFraud2020」を発表した。それによれば、ツイッターは選挙不正に関して、トランプ大統領の個人アカウント(@realDonaldTrump)を含む9万9884のアカウントを凍結した。

報告によれば、選挙不正の主張に関する研究対象となった260万あまりのアカウントのなかに、Qアノンに関連するユーザーが3万4938あり、ツイッターはそのうちの64%を停止した。

Qアノンは、2017年頃に英語の匿名掲示板の「4chan」で、米政府の機密文書にアクセスできると自称するユーザー「Q」が謎めいたメッセージを書いたことから始まったとされる。アノンはアノニマス(匿名)をもじっている。彼らの主張には「グローバルエリートが悪魔のような小児性愛者の組織を抱える」という言説がある。

Qアノンの主張を肯定したマイケル・フリン米元国家安全保障顧問や、フリン氏の弁護士シドニー・パウエル氏など、著名な親トランプ派の人物もツイッターのアカウントを凍結された。

ツイッターは先週、就任式の1月20日の暴動に関与したとして、極左グループであるアンティファ(ANTIFA)に関連したいくつかのアカウントを停止した。著名なニューヨークの無政府主義者組織のアカウント(@TheBaseBK)もそのひとつである。

(JACK PHILLIPS/翻訳編集・佐渡道世)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]