米マサチューセッツ工科大学のマクローリンビル、参考写真(William B. Plowman/Getty Images)

米MIT教授を逮捕 中国本土の役職を報告せず 人材計画にも関与

米当局はマサチューセッツ工科大学 (MIT) の陳剛(Chen Gang)教授を電信詐欺、虚偽申告の容疑で、米国の自宅で逮捕した。米司法省の発表によると、米エネルギー省などの資金で研究を行う陳氏は、中国の組織との契約に報告義務があるにも関わらず、米当局に報告しなかった。

起訴状によると、陳氏は中国生まれの帰化した米国人。2013年頃からMITで教授として、同大学のパパラルド・マイクロ・ナノ工学研究所の所長および固体太陽熱エネルギー変換センターの所長も務めていた。 

陳氏のMITにおける研究は、さまざまな米国公的機関から1900万ドルを超える助成金によって支えられていた。それに加えて同時期に、中国の組織から約2900万ドルの資金を受け取っていた。このうち、中国南方科技大学 (SUSTech)から1900万ドルを得ていた。

起訴状によると、2012年以降、陳氏は中国の技術と科学分野の発展のために、中国政府当局者に直接アドバイスや専門知識を提供した。また、金銭的な報酬と引き換えに中国政府のためにさなまざまな役職に就いていた。また、ニューヨーク中国領事館の求めに応じて、中国御用の「海外専門家」の役割を担ったり、少なくとも2つの人材計画に関わった。

起訴状は、陳氏が中国の科学と経済発展への関与を示すものとして、同氏が2016年、MITの電子メールアカウントを使って送信したメール文書を公開した。陳氏のメールには、「中国との協力を促進する」「中国は創造(科学的)をファッションではなく、重要かつ中核として位置づけている」「第18回共産党大会は科学技術革新を核とした」などと書かれている。

陳氏は中国の組織のため、いくつかの相談役などを務めていた。少なくとも2017~19年まで、陳氏はMITでの研究の一部の資金提供を求め、米国エネルギー省の助成金を申請し取得した。その際、陳氏は、中国との継続的な関係について情報を開示しなかったと起訴状は指摘した。

米検事は記者団に対し、「彼は米国の研究費を確保しながら中国政府のために働いていた」と述べた。「中国政府は、自分たちで仕事(ハイテク研究)をするよりも、米国の技術を吸い上げることを望んでいる」と中国の人材計画の危険性を指摘した。「外国人研究者との共同研究は違法ではない。嘘をつくのことが違法なのだ」と検事は付け加えた。

司法省によると、電信詐欺の罪には最高20年の懲役、最高25万ドルの罰金が科される。

(翻訳編集・佐渡道世)

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