11月25日、香港で記者会見を行う林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官(Billy H.C. Kwok/Getty Images)

日本政府、テロ・マネロン対策方針等に基づき、林鄭月娥香港行政長官の制裁を考え合わせる=国会答弁

政府は、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官に対し、香港自治権侵害などを理由に米国が制裁措置を下したことを受けて、日本国内の金融機関でも制裁を行う可能性があることを示唆した。

松原仁衆議院議員は11月25日に国会に提出した質問の中で、政府は、米国制裁対象の香港の林鄭長官に対して、日本の金融機関に取引をしないよう求めるかどうかを聞いた。

議員は、これに先立つ別の質問への政府答弁で、金融庁はマネーロンダリング・テロ対策方針等に基づき、海外拠点を有する我が国の金融機関等グループに対し、海外拠点等が属する外国当局の制裁法規が日本より厳しい場合もあることを勘案しつつも、グループ全体で整合的な形で顧客の受け入れ、顧客管理をするよう求めることを確認している。

12月8日、政府は議員の質問に対する答弁で、特定の個人の事案に対する回答は避けたが、同方針に基づき、日本よりも厳しい制裁等の法規を持つ外国政府のケースの対応を考え合わせるとした。

米財務省は8月7日、香港の自治侵害などを理由に、香港の林鄭月娥行政長官を含む11人を制裁対象にしたと発表した。米国内の資産が凍結され、米国人との取引、米国への渡航が禁止される。この制裁は、香港に対する優遇措置を廃止する7月の米大統領令に基づく。

米国の制裁対象に指定された林鄭長官は、すでに日本の金融機関の米国拠点でも取引が禁止されている。

なお、12月8日付の政府の答弁は、渡航制限や日本人との取引などには触れていない。

松原仁議員事務所は大紀元の取材に対して、議員は、多くの日本人も民主主義を追求する香港人に共感しており、香港の民主派を弾圧する中国政府の強権姿勢に強い不信感と危機感をもっていると考えている、と回答した。また、民主主義的な法規に基づかない香港の事案について、同議員は日本も実質的な政治決定を伴う対応を検討すべきだと主張している。

香港の西九龍裁判所は11月23日、2019年に行われた「逃亡犯条例」改正案に反対するデモを巡り、有罪と認定した民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、周庭(アグネス・チョウ)、林朗彦(アイバン・ラム)の3氏の勾留を決め、収監した。12月2日、裁判官は黄氏に禁錮13カ月半、周氏に同10カ月、林氏に同7カ月を言い渡した。香港高等法院(高裁)は9日、周氏の保釈申請を却下した。

日本語でのSNSの発信も多い周氏は、北海道大学公共政策大学院のフェローに就任している。松原議員は、これまでにも周氏にメッセージを送り、世界中の国会議員による香港民主化を支持する行動に参加している。議員は、人権の観点から、日本の国会議員は香港の民主主義の侵害に声を上げていかなければならないし、考えられるあらゆる手段を使って、香港の人権、自由、平等を守っていかなければならないと主張している。

(佐渡道世)

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