【紀元曙光】2020年10月21日

日本の各地で、住宅街や商業施設にまでクマが出没しているという。

▼クマの被害に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げる。話はむやみに飛ぶが、そのことで、ある映画のセリフを思い出した。黒澤明監督『七人の侍』(1954)である。

▼物語の冒頭。野盗と化した野武士が再び村を襲いに来る。どうしたらよいかを相談している農民たちに、村の長老が「腹をすかせた侍を雇うのだ。クマだって腹がへれば山を下りる」と説く。ここから農民たちの侍探しが始まる。農民の切なる求めに承諾したのが、名優・志村喬さん演じる島田勘兵衛。そのときのセリフが、かっこいい。「この飯、おろそかには食わんぞ」。

▼映画の全編を書きそうなので、ここで止める。このとき集まった七人の侍は、いずれも戦に敗れて放浪する食い詰め浪人だった。村を襲う野武士と、境遇はさほど変わらない。忠臣蔵の四十七士には亡君への忠義という形式上の美があったが、七人の侍に、そういったものは一切ない。飯が食えるだけの報酬で、彼らは農民のために命を懸けて戦い、7人中4人が闘死した。

▼映画と現実とを混同すべきではない。が、映画をヒントに、日本の侍とは何かを筆者は考えようとしている。中国革命は、たしかに農民を主力とする革命であった。しかし、国民党を台湾に追いやった後、中国の農民にとって最も恐ろしい「野武士」つまり強奪者になったのは、その革命を指導した中国共産党だった。20世紀最大の裏切りといってよい。

▼そこで問う。21世紀の今、中共に立ち向かう気骨ある日本の侍は出るや、否や。

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