中国のレアアースと肥料産業、長江の洪水で大打撃
中国の長江流域を中心に続く洪水で、レアアース、肥料、ポリシリコンなど幅広い産業が大きな打撃を受けたという。
日経アジアレビューの8月24日のレポートによると、四川省に拠点を置く「盛和資源(Shenghe Resources)社」は、中国でも数少ないレアアース生産社の1つであり、同社は19日の洪水で2つの工場の設備や在庫製品が被害を受けたと発表した。
被害を受けた工場の1つは、2019年に2万8227トンのレアアースブライン製品を生産し、同社収益の約8%を占めており、この材料は、スマートフォンやその他の電子機器の製造に不可欠な材料の1つだ。同社の株価は24日時点で7.90元に下落し、1週間前からの下落率は11%に達した。
同社は洪水による被害は3.9億~5.2億元(5600万~7500万ドル)に及ぶと推定しているが、洪水により従業員が工場に入ることができないため、正確な数値はまだ不明だという。
中国政府のデータによると、中国は昨年、13.2万トンのレアアース鉱石を生産しており、世界の生産量の3分の2近くを占めている。
肥料メーカー「四川和邦生物科技股份有限公司」は20日、工場が浸水し、生産ラインや在庫の損失は推定3.5憶元になると発表した。
光大證券(Everbright Securities)のアナリストは、同社を含む2社は中国のリン酸の生産量の24%を占めており、生産再開時期は不明だと述べた。リン酸は、肥料や飼料に広く使われている。
また、世界第3位のシリコン大手である中国通威股份有限公司の四川ポリシリコン工場も洪水の影響で生産を停止した。同社のポリシリコン生産能力は年間最大8万トンで、中国全体の5分の1を占めている。
彭博新能源財經のデータによると、今回生産停止した同社四川工場のポリシリコン生産量は2019年の世界の総生産量の4%に当たるという。
洪水は、自動車と靴メーカーに供給している皮革生産企業「四川振靜股份有限公司」にも打撃を与えた。同社の15.7万平方メートルの工場が浸水し、操業再開までに3カ月かかるという。
今年の長江流域の洪水はこの百年来、最悪の可能性があり、三峡ダムは8月20日午前8時に建設以来最大となる貯水量のピークを迎え 、流入量が毎秒7万5000立方メートルに達し、当局は11ゲート全開で放流した。
当局は22日、主要水路の水位はまだ高いままで、さらに雨が降るだろうと警告した。
報告によると、今年の洪水災害では6300万人以上が被災し、少なくとも400万人以上が避難を強いられたという。
(大紀元日本ウェブ編集部)