中国製造業企業の工場(NOEL CELISAFP via Getty Images)

バンク・オブ・アメリカ、サプライチェーンの「脱中国化」に106兆円と試算、「長い目でメリット」

中共ウイルス(新型コロナウイルス)のパンデミックにより、中国への依存度を下げるために、世界中の企業はサプライチェーンを再構築している。バンク・オブ・アメリカ(BOA)の最近の調査では、欧米企業が海外に移した生産拠点を自国内に戻すには1兆ドルのコストに直面する可能性があるが、長い目で見れば、メリットのほうが多いと結論付けた。

米CNBCの報道によると、BOAのグローバル調査アナリストは、中共ウイルスが大流行する前から、企業はサプライチェーンをグローバルから、よりローカルなものへとシフトしていたことが明らかになった。その理由は、貿易紛争、国家安全保障への懸念、自動化など、多くの要因が現代の工場の供給網を脅かしているからだ。

そして、同行のグローバル調査責任者であるキャンディス・ブラウニング(Candace Browning)氏とそのチームは、「中共ウイルスの大流行が、欧米製造業の自国回帰を促した」との見解を示した。ウイルスの流行で世界の産業の80%がサプライチェーンの混乱に直面し、75%以上の企業は自国回帰の範囲を拡大するという。

また同行のグローバル・ファンド・マネジャー調査では、「参加者の67%が、パンデミック後の世界的な構造変化として、地域化やサプライチェーンの自国回帰を挙げたという。

1兆ドルのコスト

BOAは、「今後5年間、海外の消費者を対象とする製造業をすべて中国から移転するには、企業に106兆円の損失が生じる可能性がある」と予測した。

前述のブラウニング氏とそのチームは、「大規模な自国回帰によって生じる高額の経営コストを削減するために、企業経営者が自動化を取り入れるなど積極的に行動する可能性が高い」と予測している。

また同チームは「アメリカ、日本、欧州連合、インド、台湾などが最近そうしたように、政策立案者は、減税や低コスト融資、またはその他の補助金を通じて支援を提供することが期待されている」と述べた。

さらにBOAの研究者は、「業界レベルでは建設工学と機械、工場自動化とロボット化、電気・電子機器製造、ソフトウエア開発とその他の類似サービスの株式はすべて、この加速する自国回帰の恩恵を受けるだろう。北米、ヨーロッパ、南アジアの銀行も、これらの変化によって促進された経済活動の恩恵を受けることができる」との見解を示した。

(大紀元日本ウェブ編集部)

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。