Karin Henseler/Pixabay

<東西洋神話伝説 自殺の罪2> チベット ミラレパの伝説

生きる苦しみに耐えられず、絶えず自殺する人がいます。人は死んで本当に終わりなのでしょうか?東、西洋の伝説や古典では自殺について考え方が同じで、自殺した人は罪を償うために死後も生前の何倍も苦しむと見ています。

ジェツン・ミラレパは、チベットで最も有名な仏教修行者・聖者の一人です。彼は若い頃、家族の仇討ちするため、巫術を学び、呪いをかけて多くの人を死なせました。その後、自らの悪業の報いに恐れを抱いて真の仏法を求めるようになったミラレパは、師マルパと出会い、入門を乞いました。

しかし、マルパはミラレパの悪業を浄化するために、教えを与えず、「石で造りで多層階の塔を独力で建設せよ」と命じ、途中まで完成させると「それを解体して材料を元の場所に戻せ」と命じました。このように、マルパは場所を変え設計を変えて、塔の建設と解体を何度も繰り返させるという、理不尽で過酷な肉体労働を長期間にわたってミラレパに課しました。

マルパの妻はミラレパを可哀想に思い、彼を助けようとマルパの印鑑と印信を密かに取り出し、手紙を偽造して、マルパに代わって教えを授けることのできるマルパの弟子のところにミラレパを行かせました。しかし、マルパの許可を得ていないため、ミラレパがどんなに努力して修行しても何の効果もありません。その後、このことを知ったマルパは妻に激怒し大声で怒鳴ります。

ミラレパは自分の悪業があまりにも深すぎるせいだと思い、これ以上、生き永らえても、恩人に迷惑を掛け続け、罪を積み続けるだけなので、今ここで死んだ方がましだと考え、自殺を図ろうとします。それを見たマルパの弟子は、ミラレパを抱きしめ、涙をこぼしながら、寿命が終わる前に自殺するのは、この世でこの上ない大きな罪だとミラレパの自殺を止めさせました。

参考資料:

『ミラレパ修行故事』

(翻訳編集・唐玉)

関連記事
人生のどん底で出会った一冊の本が、心と体に奇跡をもたらした──書道家や太極拳指導者、そして46年の病を抱えた女性。それぞれが法輪功に出会い、人生が一変した体験とは?
夜中に突然、ふくらはぎが激痛…その原因と対処法、そして予防に効く10の食材とは?中医学の知見を交えて、こむら返りの根本対策を紹介!
春に桜餅を食べるのは、実は理にかなっていた?小豆・もち米・桜の葉がやさしく体をととのえる理由とは──春の不調に寄り添う、薬膳和菓子の知恵を紹介。
話せなかった息子が会話を始めた──注目の天然成分“スルフォラファン”が、自閉症児に見せた劇的な変化とは?
「ただの風邪」と油断していませんか?芸能人の突然死で注目を集めるインフルエンザの脅威。高リスク層が今すぐ知るべき予防の鍵とは?