掛谷英紀コラム
ちびまる子ちゃんやドラえもんにみる 家庭教育という社会資本
新型コロナウイルス感染が世界規模に拡大している。今のところ、日本は他国に比べると感染を抑制することに成功している。(もちろん、今後どう推移するかは全く分からないので、引き続き厳重な警戒が必要である。)
欧米に感染が広がっていない頃は、日本でもトイレットペーパーの買い占めがあり、マスコミは日本の民度の低さを揶揄していた。しかし、欧米に感染が広がると、その買い占めの規模は日本を遥かに超えるものだった。日本のマスコミはダイヤモンド・プリンセス号乗客の船内隔離を批判し、一般市民に対しても検査をもっと増やすべきだと繰り返した。しかし、クルーズ船乗客の早期下船や積極検査などの対応を行ったイタリアでは、医療崩壊により感染が拡大し、新型コロナウイルスによる死者数はついに中国を超えるに至っている。マスコミの言うとおりにしていたら、日本も大変なことになっていたと想像される。こうしたマスコミの無責任な意見に安易に流されないところに、日本の民度の高さを感じる。
日本での感染が欧米ほど広がっていないことに、日本にいる留学生も驚きを隠しきれないようで、その理由は何かと聞かれることがある。2009年の新型インフルエンザ流行のときも、日本は他国に比べて被害が小さかった。充実した医療制度、対人距離をとる社会習慣、衛生に関する国民意識の高さなど、種々の要因は既に挙げられているところである。私はそれらに加えて、家庭教育という社会資本がまだ残っていることを挙げたい。特に、マスコミの情報に国民が流されにくい点は、家庭教育に依るところが大きいと思われる。
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新型コロナウイルスのパンデミックで社会のリセットが起きている今、ポストコロナの時代に日本の大学がポリコレ難民を受け入れるという構想を検討するよい機会である。