子孫に『倹約と素朴な生活』を説いた皇帝

劉裕は南朝のの初代皇帝である。出身が貧しく、皇帝になる以前も貧困生活を送っていた。そのためか、皇帝になっても根本を忘れず、質素に生活していた。劉裕は一生の間、欲を貪ることなく、法に従い、金や財宝を糞土の如く見ていた。劉裕の宮廷には、贅沢な馬車もなければ、音楽や歌、舞踊などもなかった。

ある日、劉裕に琥珀で作られた美しい枕が献上された。当時、北方の敵を征伐に行く最中で、琥珀が武器による切り傷の治療効果に良いという事を聞くと、すぐに琥珀を砕いて軍に配った。宮中のベッドの脚に使っている釘は、職人が錆止めのために銀を表面に塗っていた。劉裕は無駄遣いだと考え、鉄の釘以外は使わせなかった。劉裕の娘の嫁入り道具も簡単で、錦の織物や宝珠などは一切なかった。

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劉裕が平民であった時、布製の掛け布団を使い、牛のたてがみで作った払子(ほっす)を使っていた。皇帝になり、何でも手に入り、生活の心配もなくなった。しかし、掛け布団と払子を捨ててはいけないと思い、娘の彭城に丁寧に保管させた。「しっかり保管して将来、子や孫に伝え、根本を忘れないように諭してください」と、劉裕は娘に言いつけた。

劉裕の長女・会稽(パブリック・ドメイン)

劉裕が皇帝になる前、貧しかったため衣服のすべてを夫人の武敬皇后が手作りしていた。劉裕が皇帝になった後、昔着ていた衣服などを長女の会稽(383ー444年)に保管させ、「もし後世に贅沢をする人がいれば、これを見せてください」と語った。

このように劉裕は、後代の人々を『倹約素朴な生活』に導くため、苦心したのである。

(文・厳謹 / 翻訳・石原宇一)※看中国より転載

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