6月21日、米国務省の2018年宗教の自由に関する年次報告書の発表に合わせて会見を開くマイク・ポンペオ長官(GettyImages)

宗教の自由保護は外交トップ課題 中国は信仰弾圧常態化=米ポンペオ長官

マイク・ポンペオ米国務長官は6月21日、国務省による世界信仰の自由に関する年次報告書の発表に合わせて会見を開き、中国共産党政権による「常態化した宗教迫害」を厳しく非難した。

ポンペオ長官は、「中国共産党は創立以来、すべての宗教的信仰に対して極端な敵意を示してきた」と述べた。具体的に「法輪功学習者、クリスチャン、チベット仏教徒など、多くの信仰者たちに対して激しい迫害を行っている」とした。

ポンペオ長官は、「真善忍」で自らを修煉する法輪功に対する残忍な迫害について、公に中国共産党政権を批判する数少ない政府高官。中国共産党政権は1999年以後、中国全土で法輪功を弾圧しており、学習者が刑務所、思想矯正所、労働教養所などに収容されている。

米国務省のサム・ブラウンバック大使(信教の自由担当)も、中国共産党政権は公安、病院、警察、地方政府らが組織的に法輪功学習者など無実の囚人から臓器収奪という残虐行為を行っていると非難した。

米国務省の2018年信仰の自由に関する年次報告書の発表に合わせて開かれた記者会見でコメントするサム・ブラウンバック宗教の自由大使(GettyImages)

英国ロンドンで6月17日に開かれた、人道犯罪に第三者による調査と裁定を行う「民衆法廷」では、50人以上の証言や証拠を1年間かけて調査した結果、中国では何年もの間、強制的な臓器収奪が「かなりの規模で」行われており、法輪功学習者が臓器の供給源である可能性が高いと結論付けた。

新しい報告書は、中国憲法は信仰の自由を保証するとしているが、その権利の保護の範囲は定義されておらず、中国共産主義政権が宗教活動を恣意的に「違法」にし、宗教や信者個人の権利を党の管理に置いているとした。

ポンペオ長官は、中国共産党は自らを神に崇められることを強要していると強く批判した。

中国共産党が、公に礼拝や宗教活動を承認するのは5宗教団体のみ。中国共産党の社会主義や無神論への服従を拒む信仰を持つ個人や組織は、隠れて信仰活動を行うことが余儀なくされている。

中国には2億人以上の宗教信者がいる。中国共産党当局が非人道的な取り締まりを行っていることについて、米当局者や国際非政府組織(NGO)は繰り返し懸念を表明してきた。

例えば、新疆で住民は「文化、アイデンティティ、信仰を取り除くように設計された」強制収容所に閉じ込められている、とブラウンバック大使は述べた。中国共産党政権は、収容者に信仰上避けるべき豚肉を食べさせたり、ラマダンの間の断食を禁じたりして、信仰心を破壊しようとしている。

チベットでは、共産主義の紅旗、共産主義指導者の肖像画が、仏教僧院に高く掲げられた。報道によると過去10年間で、当局によるチベット宗教の慣行および文化への破壊に抗議するために、150人以上のチベット人が自殺を図った。

地下活動を余儀なくされているクリスチャンは、継続して、教会の強制解体と逮捕の危険にさらされている。当局は、キリスト教会に監視カメラの設置を要求し、信仰者は、信仰を放棄するとの文書に署名するよう強いられた。

ポンペオ長官と共に会見に臨んだブラウンバック大使は、「中国は信仰との戦いを宣言した」と語った。

当時の国家体育局の公式推計によると、1992年に中国で最初に紹介された法輪功は、1999年までに中国で7000万から1億人が実践した。当時の江沢民主席は法輪功が共産党政権にとって脅威だと断じて弾圧を決定した。20年間の迫害で、4000人あまりの学習者が死亡した。全土の収容施設で、いまだに多くの法輪功学習者が信仰を理由に拘禁され、拷問を受けている。

民衆法廷の判定では、法輪功学習者は、中国の臓器収奪問題の最大の供給源とされる。カナダ元アジア太平洋地域担当大臣デービッド・キルガー氏、カナダの勲章受章人権弁護士デービッド・マタス氏、在英ジャーナリストのイーサン・ガットマン氏による2016年の報告では、収容者は要求に応じて臓器を強制摘出される「臓器バンク」となっている。中国のドナー制度によると、移植手術件数は年間1万~1.5万件だが、3氏の調査では年間6万~10万件の移植手術が行われており、著しい相違がある。 

臓器収奪問題について、ブラウンバック大使は「すべての人の良心に衝撃を与えている」と述べた。

ポンペオ長官とブラウンバック大使は、宗教の自由の保護は今まで以上に必要であると述べた。さらに、ポンペオ長官は、米国政権は宗教の自由の保護と促進を「外交政策のトップ課題」に位置づけ、国際的な宗教的権利の先駆者であり続けると強調した。

(編集・佐渡道世)

関連記事
中国の中南大学湘雅第二病院に勤務していた羅帥宇氏が、不審な死を遂げた。生前の録音から、同病院が臓器移植研究のために子供のドナーを求めていた可能性が浮上。彼の家族は、羅氏が病院告発を計画していたことから口封じされたと主張している。
新築ホテル泊まったら内装のにおいがひどかった。滞在翌日子どもが川崎病を発症。ここでも、工事をした業者と管轄政府部門との癒着、賄賂などの存在があるに違いない。公式見解ほど、真実を覆い隠す「嘘」であるということだろう。一般人にできることは、新築ホテルには泊まらないことだ。
子どもは家族を従わせるための「人質」にされる。中国で子を持たないのはある意味「勝ち組」。そして子が産まれなくなるのは、滅びへの原初的第一歩。生まれても不幸にしかならないのなら、誰でもそうする。
まるで凶悪犯扱いの、中国の駅での恐怖な「安全検査」 恐怖を抱くものは、正常ではないというが、まさに。
攫われた子どもたちはどこへ? 中国に存在する「乞食ビジネス」の闇 共感を感じるというミラーユーロンが変異したか消えてしまった非人間の悪行は留まる所を知らない。どうすれば、人間でいられるのだろうか? 中共という闇の根源を実歴史の教訓としなければならない。