ファーウェイ副社長で世界サイバーセキュリティ担当ジョン・サフォーク氏はこのほど、倫理について、英議員から追及された(GettyImages)

「道徳の欠如」英議員、ファーウェイ副会長を痛烈批判 5G公聴会で

中国通信機器大手・ファーウェイ華為技術)の副会長ジョン・サフォーク(John Suffolk)氏は、英国議会の公聴会で、英議員に「道徳が欠如している」と非難された。同氏には、人権侵害を行う中国政府と取引するファーウェイの企業倫理について質問が相次いだ。

同氏はまた、中国共産主義体制が人権を抑圧しているかどうかについて、知らないと述べた。

同氏はファーウェイの副会長で、同社のグローバル・サイバー・セキュリティ責任者(GCSO)でもある。6月10日にロンドン議会で開催された科学技術選択委員会の公聴会に出席した。

英議会委員会は、英国政府が将来構築する次世代通信規格5Gに、ファーウェイ機器を許可するかどうかを議論している。参考として、ファーウェイ副社長サフォーク氏がこのほど、公聴会に招かれた。

委員会会長のノーマン・ラム(Norman Lamb)議員(自由民主党)は、4月発表のオーストラリア戦略政策協会による報告について尋ねた。この報告は、ファーウェイが、何百万という新疆ウイグル人やその他の信仰者の監視と抑圧に協力していると概説した。

報告書によると、ファーウェイは新疆自治区の「長期的な社会安定」を名目に、公安によるデジタル監視装置、技術や知識の供給、監視システムを支援している。 

「法外な人権侵害に加担することについて、あなたは懸念していないのか」ラム議員は尋ねた。「そのような判断にはならない。国内では合法で、それがわれわれの基準だ。正誤の判断は政府が行う」と述べた。

サフォーク氏は、人権侵害に加担している企業と取引を行うべきかどうかを尋ねられると、「法を順守する企業と取引をするべきだと思う」とかわした。

ジュリアン・ルイス(Julian Lewis)議員(保守党)は、この回答に追随して、ナチス・ドイツ政権には多数の法律があったように、共産党政権下で全体主義の中国にも、悪法と良法があるのかを聞いた。サフォーク氏は「私が判断することではない。他の人が判断すれば良い」と述べた。

「あなたは道徳が欠如している」とルイス議員は言い放った。さらに、法を順守する限り、民間企業がたとえ抑圧的な政策を採る政府にでも協力することについて、どう思うかを尋ねた。

「そのことを考えたことは一度もない」「答えられない」とサフォーク代表は明言を避けた。

ビル・グラント(Bill Grant)議員(保守党)はサフォーク氏に尋ねた。「国が邪悪な、あるいは悪い法律を持っていたとしても、あなたは盲目的に服従するのだろうか?」サフォーク氏は、「私たちは法律を理解し、その範囲内で活動している」と答えた。

ダレン・ジョーンズ(Darren Jones)議員(労働党)は、法と倫理の間の違いを尋ねた。サフォーク氏は「ファーウェイが誰に製品を供給するかという点で、なぜ倫理問題を持ち出すのだろうか」「出発点として、本質的には常に、法律は倫理を定義する」「本質的には、政府が正しいことと間違っていることを定義することが重要だ」と述べた。

ジョーンズ議員は、企業は一組織であり「特定の顧客と取引をするかどうかについて決定を下すことができる」と付け加えた。

米トランプ政権は、安全保障上の懸念から、ファーウェイに対して禁輸措置を取った。また同盟国や友好国に対しても、セキュリティの危機が生じかねないとして、排除を促している。

英紙デイリー・テレグラフは4月、メイ首相が主宰する国家安全保障会議で、5Gネットワークの非中核部分にファーウェイ参入を認める決定をしたと報じた。しかし、英議員は再検討を促しており、次期首相に最終決定は委ねられると主張している。与党保守党からの新しい首相は、7月下旬に任命される見通し。

(翻訳編集・佐渡道世)

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