一帯一路の要所、グワダル港 周辺ホテルで襲撃事件 テロ組織犯行声明
パキスタン警察は12日、バロチスタン州グワダル港付近の高級ホテルで銃乱射事件が発生したと報じた。パキスタンの過激派「バロチスタン解放軍」はウェブサイトで、ホテル滞在の中国人を含む外国人投資家を狙った攻撃だとの犯行声明を発表した。
パキスタン警察の発表によると、グワダル港付近の5つ星ホテル、パール・インターコンチネンタル・ホテルに、少なくとも4人が侵入して、乱射事件を引き起こした。
パキスタン当局者によると、ホテルは11日夜間に爆弾とロケット弾により酷く損傷した。同当局者は「4階建てのホテルが著しく破壊されたのは、犯人が爆発装置を入り口に設置し、ロケットを発射したためだ」と述べた。
英字メディア・DAWNによると「銃声と爆発音が土曜日夜から日曜日未明まで続き、夜の静けさを破った」と住民の一人は同紙に語った。グワダル港に続く道路はすべて閉鎖されている。
バロチスタン解放軍は犯行声明の中で、銃乱射事件は「中国人や他の外国人投資家」を狙っていると述べている。犯行後の組織公式発表では、10時間交戦したという。組織は、外国人がバロチスタンの天然資源を不当に搾取しており、これと戦うために行ったと主張している。
パキスタンの政府職員によれば、犯人は軍服を着ていたという。バロチスタン解放軍の公式サイトによると、メンバーは軍服らしきものを身にまとっている。
11日夕方、侵入者とホテルの警備員との銃撃戦が発生し、少なくとも3人の警備員と2人のホテル従業員が死亡し、4人が負傷した。パキスタン軍関係者は「軍人が犯人を屋上へ向かう階段で取り押さえた」と話した。
中国にとって、パキスタンのバロチスタン州は中国西部からアラブ海につながる戦略的地域で、総額600億ドルを投じた中パ経済回廊の一部。同州には戦略港湾・グワダル港があり、広域経済圏構想・一帯一路の路線上の重点都市。
バロチスタン解放軍は中国資本の開発を非難しており、これらのプロジェクトの阻止を宣言している。パキスタンは、中国からの投資と中国人労働者の保護を中国政府に約束した。
バロチスタン州はイランとアフガニスタンに接するパキスタンで最も貧しい省。しかし、天然ガスと多様な鉱物を埋蔵している。
襲撃事件のあった高級ホテルは、一帯一路関連プロジェクトの関係者を含め、中国や海外から多くの宿泊客が利用している。
被害情報は交錯している。中国メディアによると、11日には70人が同ホテルに宿泊し、そのうち40人が中国人で、パキスタン軍との交戦が始まり、全員が退去した。パキスタン政府高官によれば、銃撃事件当時、中国の関係者はホテル内にいなかった。また、バルチスタン解放軍の広報によると、中国人投資家を殺害したと伝えている。
(編集・佐渡道世)