中国当局は21日、2018年国内総生産(GDP)成長率が6.6%と発表した。28年ぶりの低水準。写真は中国国内の道路に放置された自転車シェアリング用の自転車(Getty Images)

中国経済が失速しても世界経済に大きな影響ない=経済学者

中国国家統計局は21日、2018年の国内総生産(GDP)成長率は6.6%と発表した。28年ぶりの低水準となった。また、2018年第4四半期(10~12月期)のGDP成長率は6.4%に落ち込んだと示し、2009年以来の悪い結果となった。

一部の市場関係者や専門家は、中国国内の景気悪化、企業倒産の件数や失業者数の増加を背景に、2019年上半期中国経済の失速が続くと推測する。

ロイター通信が行った事前調査では、一部の専門家は2018年第4四半期のGDP成長率が6.4%と予測したうえ、実際の数値がこの予測数値を下回る場合、世界株安を引き起こす恐れがあると警告した。

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授は、中国の経済衰退は世界経済の減速にはつながらないと強調した。

謝教授は「中国の景気冷え込みの原因の一つは、製造業が生産拠点を他の国に移転したことにある。これに伴い、他の国には投資の増加、雇用環境改善、新たな経済産出をもたらすことになり、他の国の経済活動にとってはプラスのことだ。中国経済は世界経済のけん引力ではないため、中国経済が失速しても、世界経済が減速することはない」

教授によると、現在中国経済が直面している最大の課題は失業問題だ。景気が一段と悪化すれば、中国の債務急増問題による大規模な債務不履行(デフォルト)、不動産バブルの崩壊などが起こりうる。

「中国共産党政権はこれを最も不安視している。さらにデフォルトや不動産バブルの崩壊で、資産価格が暴落し、中国社会が大きく混乱する」

中国紙、証券時報など複数のメディアは昨年11月、中国不動産時価総額は65兆ドル(約7131兆円)に達し、米国と日本と欧州連合(EU)の不動産時価総額の合計を上回ったと報道した。

いっぽう、時事評論員の田園氏は、中国は他の国と経済成長モデルに大きな違いがあると指摘した。

「他の国は、経済の構造改革を行い、市場経済体制を採用し、経済成長を実現してきた。しかし、中国当局は流動的供給で経済成長、景気刺激を図ってきた」

田園氏は、与信拡大の結果、大半の資金が金融サービス業、不動産市場に流れたと批判した。「これによって過去2、30年間、中国不動産バブルが深刻化した。しかし、中国の製造業、農業、サービス業などの実体経済は、この与信拡大の恩恵を全く受けていない。結果的に、中国製造業の空洞化を招いた」

「中国経済界の良心」と呼ばれる経済学者の呉敬璉氏はこのほど、中国の「国家資本主義」について警告した。呉氏は、中国当局の市場干渉で、中国経済に対する国民や投資家の意識が冷え込むとした。また、中国の国家資本主義は旧ソ連の計画経済と同様に、失敗に終わるだろうと呉氏は指摘した。

(翻訳編集・張哲)

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