G20サミットに出席したトランプ大統領(Photo by SAUL LOEB / AFP) (Photo credit should read SAUL LOEB/AFP/Getty Images)
評論

必死の中国と余裕のアメリカ G20米中「停戦協定」で勝負は持ち越し

ブエノスアイレスで開かれたG20サミットには一つの重要な目的があった。それは米中間で貿易の合意を達成することだ。しかし、公開された合意文書を見れば、それが事実的な合意というより、むしろ外交的な停戦に過ぎないと分かる。

アメリカは2019年1月1日に予定されていた対中関税の引き上げを先延ばしすることで合意した。その代り、中国は、外資企業に対する法的保護の改善や資本市場の開放、知的財産権の保護に努力すると約束した上、アメリカからより多くの農作物とエネルギー関連製品(液化天然ガス等)を購入することにした。しかし、その約束は漠然としたものだった。

貿易戦争は新しいことだと思うかもしれないが、それは違うだろう。事実、アメリカと中国は長年貿易戦争を行ってきた。アメリカは中国やその他の国家の貿易障壁を長年非難してきたにもかかわらず、世界貿易機関が何ら対策を取らなかった。アメリカは世界で最も開かれた経済主体であったにもかかわらず、前政権のときからG20内のどの国よりも多くの保護貿易主義的手段を採用してきた。

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