財布。イメージ写真(pixabay)

スラム街の子供が教える「信じることの大切さ」

1990年代のある日、米国の慈善家ケン・ベリングがサンフランシスコ湾を通った時、財布がなくなったことに気が付きました。

 

「おそらくは午前中、バークレー市のスラム街を歩いた時に落としたのでしょう。どうしますか?」と助手が聞くと、ベーリングは「財布を拾った人が私たちに連絡するのを待つしかありません」と残念そうに答えました。

 

連絡がないまま2時間がたちました。助手は失望し「もう待つのをやめましょう。スラム街の人に対して希望を持つべきではありませんでした」と言いましたが、ベーリングは「いいえ、私はもう少し待って見たいです」と落ち着いて言いました。

 

助手は「財布の中に名刺があったはずです。拾った者が、電話をすれば数分のことでしょう。私たちはもう十分待ちました」と言いましたがベーリングは依然として待つことにしました。日が暮れる頃に電話が鳴りました。財布を拾った人が取りに来てくださいというのです。

 

助手は「これはわなかもしれない。彼らはあなたをゆすろうとしているのでは?」と言いましたが、ベーリングは気にせず、すぐに車で向かいました。約束の場所に着くと、ぼろぼろの服を着た男の子が立っていて、その手にはベーリングの財布がありました。助手が財布を細かく調べると中のお金はそのままでした。

 

「一つお願いがあります。少しお金をいただけますか?」と、男の子はためらいながら言いました。これを聞いた助手は大いに笑った。「やっぱりそうか・・・」ベーリングは助手の話を断ち切り、男の子にいくらほしいのか、とほほ笑みながら聞いた。

 

「1ドルあれば足ります。長い間歩いてやっと公衆電話を見つけましたが、お金がなかったので1ドルを借りて電話をかけました。私はその人に返さなければなりません」

 

男の子の澄みきった目に助手は恥ずかしくなり、ベーリングは男の子を抱きしめました。その後、ベーリングはバークレーのスラム街の子供たちを助けるため、学校を建てる慈善計画に出資しました。

 

学校の始業式でベーリングは子供たちにこのように語りました。「むやみに他人を疑わないでください。清らかで善良な心は最も大切なものです。そのために私は投資します」

(翻訳編集・文亮)

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