南シナ海係争

「九段線」印刷のTシャツを着た中国観光客、ベトナムで物議

ベトナムを訪れた中国人旅行客のTシャツにプリントされた地図が、同国で物議をかもしている。

中国が南シナ海全域に主権や権益が及ぶと主張する根拠となる「九段線」がプリントされたTシャツ。これを、中国人若者の団体客がそろって着用する姿を映した写真が、ベトナムのネットで出回り、怒りを呼んだ。一部ネットユーザーは、団体を強制退去させるべきだと主張した。

AFP通信によると、中国人旅行客の一団は5月13日夜、南カムラン空港に到着。入国審査当局と空港警察により呼び止められていたという。目撃者は「空港を離れる前にTシャツを脱ぐように命じられていた」と話している。

一部のネットユーザーは、こうした争議を持ち込む観光客はベトナムで歓迎されないと主張した。この騒動を知ったベトナム人のSNSユーザーは「すぐに追放し、入国を永久に禁止すべきだ」と投稿した。SNSでは、九段線に「バツ」が付けられた画像が出回っている。

中国は南シナ海に、軍事利用が疑われる人工島を建設しており、ベトナムへの圧力となっている。両国の政治問題が観光業に影響したことは、これが初めてではない。現地報道によると、観光スポットのダナン島とフーコック島の国境警備員は一時、中国人観光客の入国を拒んだ。

2017年、ベトナムには400万人以上の中国人観光客が訪れ、外国人観光客の30%以上を占めた。現地ハノイの観光ガイドは、中国人観光客を案内する場合は、政治問題に気をつけているという。

一部の観光業従事者は、無免許の中国人ガイドが、歴史や海域の主張を独自の解釈で説いているとして、2017年、ベトナム当局に対応を求める請願を提出した。AFP通信に対して、ベトナム人観光ガイドは「祖国と歴史について、来訪者に歪んだ真実を伝えることはできない」と語った。

(編集・甲斐天海)

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