クラシック音楽が情緒に与える影響(1)

米国スタンフォード大学とカナダのマギル大学の研究者が、このほど科学雑誌「Neuron」に発表した報告によると、音楽は人の興奮や反感の程度を変えたり、集中力の程度に影響を与えたりしうるという。

 音楽療法はここ40年来、さまざまな臨床分野で重視されてきており、最近10数年の研究によって、クラシック音楽は心身の苦痛を和らげるのに効果があることが明らかとなった。

 ただ、中国では、音楽による疾病治療は、もっと古くから行われている。中国の先人たちは早くから、宇宙の規律と生命のリズムの秘密を探求し続け、次のようなことばを残してきた。「天に五音ありて、人に五臓あり。天に六律ありて、人に六腑あり。これ正に、人は天地と相応ずるなり」、「薬を好む者に、笙と笛を与うる」、「七情の病、花を見て憂いを解き、曲を聴いて愁いを消す。これ、薬を服するに勝るなり」など。

 

クラシック音楽は非常に緩やかで、心に安らぎをもたらす(大紀元)

人はみな、先天的に音楽の才能を持つ

 Neuronに発表された報告によると、音楽は言語同様、人類が先天的に備えている認知能力の一つであり、音楽の全くわからない人でも「音楽細胞」を備えているという。

 実験では、18世紀の英国の作曲家ウィリアム・ボイス(William Boyce)のあまり知られていない作品が使われた。被験者は、曲の流れに起伏の変化があったと感じるたびにスイッチを押すというもので、研究の結果、音楽が全くわからない人でも、リズムと音調の感知能力を備えており、楽曲の始まりと終わりを区別することができる、つまり、聴覚でとらえた情報を一まとまりごとに分けた上で理解することができるということが明らかになった。

 報告によると、音楽が大脳の情緒中枢である扁桃体に影響を与えることによって、私たちの情緒は音楽と直接のつながりを持つようになるという。

 (続く)

(記者・辛菲、翻訳/編集・瀬戸)