安倍首相、消費増税の使途変更へ 9条改正含め争点化=政府筋

[東京 19日 ロイター] – 安倍晋三首相は、8%の消費税率を予定通り2019年10月から10%へ引き上げると同時に、増税分の使いみちを変更する方針だ。幼児教育の段階的な無償化や子育て支援に振り向け、財政再建に回す比率を下げる方向で検討を進める。10月下旬の衆院選では、北朝鮮への圧力強化路線の継承や、憲法に自衛隊の根拠規定を明記するなどの争点も掲げ、長期安定政権を目指したい考え。複数の政府筋が明らかにした。

増税時の使途組み替えは、安倍首相が25日の経済財政諮問会議で表明する。

5%から10%への消費増税で見込まれる税収約14兆円のうち、現状では8割を財政健全化に、残る2割を社会保障の充実に充てることが決まっている。8%から10%への引き上げで得られる約5.6兆円についても同じ比率で配分する。

安倍首相はこの割合を見直し、「人づくり革命」の実現に振り向けたい意向で、具体的には、幼児教育の段階的な無償化や高等教育の負担軽減、子育て支援などを想定するもようだ。

ただ、事実上の借金返済に充てていた分が政策推進のための財源になれば、2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化目標の未達は決定的となる。    

麻生太郎財務相は19日の閣議後会見で「(財政再建とのバランスが)保たれるようにしなければならない」と述べ、財政健全化にも配慮する必要があるとの認識を示した。

複数の関係筋によると、安倍首相は9月28日に召集する臨時国会の冒頭に衆院を解散し、10月10日公示、22日投開票の日程を軸に検討している。

自民党の二階俊博幹事長は19日午前の役員連絡会で、前日の安倍首相との会談の場で衆院の早期解散を検討していることを伝えられたと明かした上で、首相から「国連総会から帰国後に(解散時期を)決めるので、よろしくお願いしたい」との発言があったとも語った。

衆院選では、増税時の使途変更に加え、対北朝鮮政策の継承や憲法9条で明記されていない自衛隊の存在を認める条項の創設も争点にするとみられる。

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 (梅川崇 竹本能文 編集:田巻一彦)

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