「君たちに災難が訪れますように」男子校の卒業式 一風変わったメッセージ
米ボストン近郊にある全寮制の男子校カーディガン・マウンテン・スクール(Cardigan Mountain School)。裕福な家庭の男の子たちが在籍する名門校の卒業式に、アメリカ最高裁判所長官のジョン・ロバーツ氏が出席しました。
将来有望なスクール・ボーイズたちに向けた、彼からのメッセージとは…?
「君たちに災難が訪れることを願っている」
卒業式では普通、学生たちの成功や幸運を祈るスピーチをするもの。ところが、ロバーツ氏の演説はネガティブな言葉に溢れ、一風変わったものでした。
ジョン・ロバーツ氏の演説の抜粋:
「君たちが不公平に扱われることを願っています。そうすれば、正義の価値がわかるでしょう」
「君たちが、裏切りに苦しむことを願っています。そうすれば、忠実であることの大切さがわかるでしょう」
「君たちが時々、孤独を感じることを願っています。そうすれば、友人がいることのありがたみが分かるでしょう」
「君たちに災難が訪れることを願っています。そうすれば、人生には運というものが存在することを知るでしょう。そして、あなたが成功したとしても、それが完全に受けるに値するものとは限らないし、他人が失敗したからといって、それも完全に受けるに値するものではないと分かるからです」
「君たちが時々、負けることを願っています。競争相手が喜べば、君たちは“スポーツマンシップ”とは何かが分かるでしょう」
「君たちが、無視されることを願っています。そうすれば、他人の言葉に耳を傾けることの大切さを知るでしょう」
「君たちが将来、寛容の心を学ぶのに十分な、痛みに苦しむことを願っています」
以上に述べたことは好むと好まざるとに関わらず、必ず起きるものですが…と前置きし、ロバーツ氏は次のように語っています。
「それらのことから受益できるかどうかは、君たちが災難の背後にあるメッセージをどれだけ理解できるかにかかっている」
ハーバード大学を首席で卒業し、数々の要職を歴任した後、アメリカ最高裁長官にまで上りつめたロバーツ氏。人生に成功しても、決して驕り高ぶってはいけないという彼の真摯なアドバイスが心に響きます。
(文・郭丹丹)