韓国の中国人観光客、3月は40%も減少 THAAD配備の中国措置で
米国のミサイル防衛システム(THAAD)の配備をめぐり悪化した中韓両国の関係。このたび、韓国を訪れる中国人観光客は3月、40%も減少していたことが、韓国観光公社の統計で明らかになった。
在韓米軍のTHAAD配備に強く反発した中国の対抗措置として、訪韓団体ツアーの停止や両国間の空の便や船便を減少させたことが影響していると考えられている。
中国人側の反韓感情の高まりも話題になった。3月中旬、日韓中の都市をめぐる3400人もの中国人観光客を乗せたクルージング・ツアーでは、韓国人気リゾート・済州島に接岸するも、中国人客は下船を拒否した。
韓国観光公社によると、訪韓中国人観光客は今年36万人ほど。昨年3月は60万人を超えており、40%近く減少した。訪韓外国人の数は昨年比で11%減ったという。
試算では、中国の対抗措置により、韓国は観光収入を93億6000万ドル(約9300億円)を失う可能性がある。最も深刻なのは、展開するビジネスを70%を中国人観光客に頼っている免税店だ。
中国人向けの免税店を運営するロッテ(Lotte)グループの広報によると、2017年上半期の損失額は推計10億ドル(約1100億円)になるという。
これらの損失を補うために、韓国の観光産業は、日本と東南アジアを誘えるよう注力してきた。しかし、聯合ニュースによると、緊迫感が高まる北朝鮮情勢により、4月の外国人観光客は減少が確実と見込まれている。
韓国人のなかでの嫌中感情もかなり高まっている。これまで、韓国にとって「好感をもてない国」は北朝鮮が1位、従軍慰安婦問題が取りざたされる日本が2位だったが、今年3月は、激しい対抗措置を見せた中国が2位になった。韓国の政策調査機関・アサン政策研究院の世論調査で明らかになった。
(翻訳編集・佐渡 道世)