垂直の森

植物に覆われた「森のビル街」中国スモッグ問題解決の一手?

有名なイタリアの建築家ステファノ・ボエリ(Stefano Boeri)氏は16日、中国広西チワン自治区柳州市で、植物に覆われたマンションを100~200棟建てる、小型都市建設計画を発表した。同氏は、大気汚染の深刻な中国10都市での積極的な都市づくりを進めている。

人と植物との共存をテーマにしたこの建築作品は「垂直の森(イタリア語:ボスコ・ベルティカーレ)」と呼ばれ、周辺環境へは有害な微粒子の削減と空気清浄化、住民へは放射能や騒音、夏の高温から保護する機能があると、ボエリ氏は主張する。

一棟には約1000本の樹木や2500本のツタや多年草植物が、ビル壁面や屋上、3メートル近く突き出たバルコニーに植えられ、その総面積はサッカー場に相当するという。四季を通じた植物の変化も楽しめ、時間の経過とともにビル外ゆ部の様相は「森」に近づいていく。

「垂直の森」は2014年に、大気汚染に悩まされた都市・イタリアのミラノ市に2棟建てられた。同年には国際高層ビル賞の最高賞を獲得。英ビジネスインサイダーによると、ベルギーのブリュッセルでも2016年半ばに、都市再開発地域の一部に3棟建てる計画が市当局へ申請されている。

大気汚染に悩む中国で求められた「垂直の森」は

このたび、イタリアの建築家ステファノ・ボエリ氏は、南京で自身の作品「垂直の森」2棟を建てる計画を公表(Stefano Boeri Achitetti)

ボエリ氏は今月はじめ、南京市で「垂直の森」2棟を建てる計画を発表したばかり。そこには商業施設、オフィス、高級ホテル、美術館、建築学校などが入り、2018年完成予定だ。計画によると、毎年、南京の汚染空気25トンを除去し、毎日60キロの新鮮な酸素を作り出す。

ボエリ氏は、中国での積極的な「森の都市」計画を進めている。英紙ガーディアンの取材に答えた同氏は、「垂直の森」100~200棟からなる小さな都市を、中国の大気汚染が深刻な都市10カ所でつくることを検討しているという。

広西チワン自治区の柳州市でのイメージ図が公開され、「2020年に最初の緑の都市が完成するだろう」とボエリ氏は答えた。

また、2022年冬季北京オリンピック会場都市・石家荘市でも、同様の構想がある。

  中国当局の計画受け入れについて、同氏の建設計画が「巨大都市の建設」ではなく、「緑化建築」という持続可能なモデルを提案したことで、理解が得られたのではないかと考えている。

また、ボエリ氏は建設デザインの著作権を気にしない姿勢を見せた。「この森の都市のアイデアはどんな地域でもできると考えている。誰かがコピーや複製をしても、問題ない。他の研究や実験にも役立つことを願っている」。 

広西チワン自治区柳州市で建設予定の「垂直の森」都市(Stefano Boeri Achitetti)

(翻訳編集・佐渡 道世)

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