トランプ新政権の誕生後、米財界にある顕著な変化が見られるようになってきた。それは今まで取られてきたような中国をできるだけ刺激しない宥めるような態度から、互恵的な関係のもとで市場開放を求めようとする、より強気な態度への変化だ(Christopher Gregory/Getty Images)

在中米国企業に変化、トランプ政権の対中強硬論を支持か

トランプ新政権の誕生後、米財界にある顕著な変化が見られるようになってきた。それは今まで取られてきたような中国をできるだけ刺激しない宥めるような態度から、互恵的な関係のもとで市場開放を求めようとする、より強気な態度への変化だ。

ロイター通信は、一部の米企業トップがトランプ政権に対して中国市場を開かせる強硬な政策を進言していると報じている。これが事実なら、今までくれぐれも中国を怒らせないようにと米政府を遊説してきた米企業の姿勢はこれまでと全く変わってしまったといえるだろう。

トランプ政権のロス商務長官ライトハイザー通商代表はアメリカと対等な市場開放の条件を中国側に取りつけていくと示唆するなど、対中強硬論を勢いよく展開している。

金融、自動車、ハイテクなど多くの分野は、中国において外国の資本はほとんど締め出され厳しく規制されている。中国政府の市場保護主義への批判は今に始まったことではない。例えば、外国の保険会社は中国合弁企業において持株比率の上限は50%に抑えられているが、他方で中国の保険会社は外国で企業買収を大規模にすすめている。

米大手コンサルティング会社APCOワールドワイド中国支社のジェームス ・マクレガー代表はロイター通信の取材に対し、中国政府の保護主義を抑制できるような互恵政策論への支持が高まっていると語った。「国内での独占的地位によって稼ぎまくった中国企業はいま、外国に出て大規模な買収を行い、外国企業にダメージをあたえている」「中国政府のやり方は度が過ぎる」と同代表は懸念を示している。

マクレガー代表は、米中両国の関係を保ちつつ、中国側による米企業への報復を制限できるような互恵政策を考案するのが最大の課題だとも指摘している。

一方、米国内では互恵政策をめぐっては、「米国の根本原則である自由な市場原則から乖離している」という慎重な見方と、「市場の自由な調整というものが機能しなくなる状況下では政府による適切な干渉が必要」という賛成の見方に、専門家の意見は分かれている。

(翻訳編集・叶子)

 

関連記事
米国商務省は3月1日、中国、韓国、日本、ブラジル、インド、ロシアとイギリスの7カ国で製造される冷延鋼板製品が米国で不当に安く販売されているとして、7カ国に対して最大265.79%の反ダンピング関税(他国が不当に安い価格で輸出した場合、輸入国政府が国内産業を保護するために課する割増関税)の適用を仮決定した。3月中旬から実施される。
米通信社ブルームバーグの報道によると、中国の保険会社、安邦保険集団(以下、安邦)が65億米ドル(約7388億円)で米投資会社ブラックストーンから北米と欧州で高級ホテルを所有している米不動産投資信託会社ストラテジック・ホテルズ・アンド・リゾーツを買収する計画だという。実現すれば、中国企業による米不動産買収の過去最高額になる。
5月末、電機・家電製品メーカーで世界大手のフィリップスをはじめ、5つの外国資本企業が中国からの撤退を発表した。
近年、中国企業による対外投資や海外企業買収が急拡大している。その背後にあるは、中国政府の「走出去」戦略(中国企業が積極的に海外進出する政策)ではなく、経済の急減速によるリスク回避を目的として資金を海外に移転することだ。
CVD装置の世界的製造会社であるアイクストロン社(本社ドイツ・ヘルゾゲンラス)の中国投資会社「福建宏芯投資基金(以下FGC)」による買収許可が、先月24日取り消され、再審査となることが発表された。9月初旬、この買収をドイツ経済省は許可していたが、安全保障関連の技術を同社が保有していることが問題視されたという。
中国が世界貿易機関(WTO)に加盟してから12月11日で15周年を迎えた。しかしこのほど、欧州連合(EU)と米国に次ぎ、日本経済産業省が中国をWTOが定義する「市場経済国」と認めないと表明した。米国専門家は中国当局の政策が国有企業に有利で、外国企業を排斥する現状が改善しておらず、当局は「WTO加盟際にした約束を果たしていない」「根本的な改革が行われていない」と指摘した。
米国ドナルド・トランプ次期大統領に商務長官に指名された、ウィルバー・ロス氏(79)は18日、上院商業科学運輸委員会の指名承認公聴会で、「中国は最大の貿易保護主義国家」と批判し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の批准に反対すると次期ドナルド・トランプ氏の貿易政策を改めて強調した。