資金逃避が止まらない中国 地下銀行の取り締まりを強化
中国当局は資金逃避の拡大防止で、違法金融業務を行う「地下銭荘」(地下銀行)への取り締まりを強化している。2016年11月から1月5日まで中国海南省など各地で大規模な「地下銭荘」を相次いで摘発した。その取引総額は約700億元(約1兆1690億円)に達した。
国内メディアの報道によると、16年11月23日海南省で取引金額が3億元の地下銀行が摘発されてから、12月20日には広西省(取引金額が280億元)、30日に広東省深セン市(同400億元)、今年に入って1月5日に広東省広州市の(同5億元)と短期間に連続で4件の地下銀行が摘発され、当局の力の入れ具合も並々ならぬものがある。
中国経済成長の鈍化と元安が主因で、昨年下半期以降、富裕層をはじめ中国国民の資本逃避が拡大した。資本流出をくい止めるため、当局は個人の外貨両替限度額を年間5万ドル(約585万円)に制限するなどの措置をとった。そのため、地下銀行が違法な資金移動の主なチャンネルとなった。
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